一日10,000歩!:この運動目標は正しいか? (RTE-News, Nov 14, 2022)
「ちょっと近くのスーパーまで買い物」、「すぐそこの公園で散歩」のときでも、ついクルマで出かけがちだ。ところが、近年、健康ブームが高まって、「あるけ歩け」が叫ばれるようになった。その「歩け運動」の実践目標は「10,000steps a day (一日10,000歩)」という。しかし、これは正しいのだろうか。
Harvard Medical School (ハーバード大学大学院医学研究科)の Dr I-Min Leeによると、現在、一日10,000歩を実践している人は、その習慣をやめる必要はないが、10,000歩の数値目標にこだわるよりも、実質的な運動量にもっと注意を払うべきだという。
その理由として、一日10,000歩の基準は、医学的な確証に欠けるおそれをぬぐいきれないからだ。もちろん、その歩数を歩き続けていると、健康に良いことは事実だが、専門家の意見では、「threshold (しきい値)」は 2,000- 3,000歩で十分。
シャノン工科大学 TUS (Technology University of the Shannon)の Dr Fiona Skellyによると、「public health guidlein (公衆衛生ガイドライン)」は
・150- 300 minutes of moderate intensity exercise over a week
[中等度の運動を一週間に150− 300分 (一日当たり20- 40分)]
なお、中等度運動 (moderate intensity exercise)とは、心拍数 (heart rate
、呼吸数 (breathing rate)が上がって、汗ばむ (makes you sweat a little bit)程度の運動を指す。
したがって、この運動ガイドラインを守り、できるだけ座位行動 (sedentary behaviour)を減らして、さらに一日数千歩も歩けば申し分なし。
このとき、注意すべき点は「sedentary behaviour (座位行動)」。これは
・(仕事中の)リラックスできない状況
・クルマの運転中
・デスク・ワーク
・長椅子に横になっている
なども含まれる。
日常では、座ったり、横になったりする時間を少しでも減らした方が良い。夕食後、ソファに身を委ねてTV鑑賞をしているとき、ちょっとの間 (even for a minuite)でも構わない、その場に立って、ストレッチをするだけで健康増進効果があるという。
そうは言っても、「明日から運動だ」と意気込んで、とうていできそうもない無理な運動計画をたてないこと。それは長続きしない。「一日10,000歩」などにこだわらず、まずは、自分の好きな運動(ヨガ、サイクリングなど)に取り組む方が、楽しんで運動が続けられて、運動量が増すこと疑いなし。
おわりに:その気になってさえやれば、「買い物の運搬」や「床の雑巾かけ」、「階段の上り下り」だって、りっぱな運動になる。ただし、きちんと意識して身体を動かすことが肝心。なお、日常生活の仕草・作業に物ぐささを感じ始めたら、運動不足はもちろんのこと、免疫力が弱まり、脳にも身体にも老化の影響が及んでいる証拠だ。気をつけた方がいい。「Exercise works as rejuvenating water.」
(写真は添付のRTE Newsから引用)