ひとは、うわさやTV・ネット情報に流されやすい。某TVチャンネルでバイク (bicycle)の番組が話題になると、高価なスポーツ・タイプの自転車の購入に走り、街中のランニングが話題になると、これにこだわって特殊なランニング・シューズを買い求める。
確かに運動 (exercise)は心身の健康に欠かせない。けれど、よほどの怠け者あるいは運動嫌いでもない限り、WHOの運動量ガイドラインはクリアしているはずだ。
なお、WHOが定める「健康を保つために必要な運動量」は次のいずれか。
・moderate intensity exercise:中程度の運動
少し息が切れるくらいの運動 (サイクリング、速歩き、階段上りなど)を週に150分 (1日当たり約20− 25分)
・vigorous intensity exercise:激しい運動
すぐに汗をかく運動 (ジョギング、ランニング、エアロビクスなど)を週に75分間 (1日当り約10− 12分)
しかし、Birmingham大学の Dr Viv Leeによると、運動量の捉え方が間違っている人が多いという。約36%の人が、WHOの運動量ガイドラインを高い水準と勘違いし、運動を余りしない人に限ると、その約61%がWHOガイドラインを実際よりも大変なものと「overestimate (過大評価)」している。
その原因は一重に「moderate and vgorous intensity exercises」がどんなものであるのかを知らないからだ。
運動量の強度 (intensity)の簡便な測り方については、次の 3通りが知られている。
1.Heart rate (心拍数)による決定法
計算に当たって、3つの値を知る必要がある。
・resting heart rate:安静時心拍数 → 測定
・maximum heart rate:最大心拍数 → 220 − [年齢]
・proportion of desired heart rate residue:心拍予備能係数PHRR
moderate exercise → PHRR= 0.4〜0.59
vigorous exercise → PHRR = 0.6 over
計算例:
例えば、年齢40歳の人が「moderate intensity exercise (中程度運動)」を目標にするなら、
・安静時の心拍数を測る。→ 45回/分
・最大心拍数(推定値) → 220 − 40=180回/分
・心拍予備能 → 最大心拍数 − 安静時心拍数=180 − 45 = 135
・中程度運動が希望 → 係数PHRR=0.4〜0.59
・中程度運動時の心拍数=[安静時心拍数] + [予備心拍能]×係数PHRR
= 45 + 135×( 0.4 〜0.59)
= 99 〜125
つまり、運動中に心拍数が [99 〜125]の範囲にあるなら、それが中程度運動。それよりも高い数値になるときは、激しい運動ということになる。
2.Perceived exercise scale (自主的運動強度)による決定法
これは主観的に運動の強さをランク付けする方法で、[非常に楽な運動]を 6、[非常にきつい運動]を20と定め、中程度運動と激しい運動を次のようにランク付けする。
・moderate exercise:12〜 13
・vigorous exercise :14 over
3.Step rate per minute ( 1分間の歩数)による決定方
・moderate exercise:1分間に100歩を歩くスピード(運動努力)
・vigorous exercise :1分間に100歩以上を歩くスピード(運動努力)
しかし、いずれにしても、プロのスポーツ選手でもない限り、運動強度にしつこくこだわる必要はない。運動の強さ・きつさの感じ方は、運動する本人の年齢、性別、健康状態によって違うもの。無理をせず、体調に合わせて運動を楽しむことが肝心だ。
おわりに:掃除に洗濯、床拭きに荷物運び。そのどれもが「おっくう」になったら、危険信号。運動不足を疑った方が良い。しゃがむ、手を伸ばす、座る、歩くなどの、日常の動作がきちんとできれば、運動量は十分なはずだ。
(写真は添付のRTE Newsから引用)