運動すると:どうして夜ぐっすり眠れるのか? (RTE-News, Nov 25, 2022)
一生の間には、誰にだって、悩みや不安で眠れなくなることだってある。とくに、明日は、大事な演奏・発表会あるいは命運をかけた一大勝負の日とあっては、ベッドに入ってもなかなか寝付けないものだ。
それはさておき、十分に眠れない夜が続くと、「health and wellbeing (心とからだの健全性)」が損なわれ、最悪、「insomania (不眠症)」に陥りかねない。そんなときは、これまで
・熱めのお風呂に入る
・就寝2時間前はスマホに触れない
などの快眠のコツが有効とされてきた。
ところが、Nottingham Trent大学の Dr Emma Sweeneyのお勧めは、「exercise regulary (運動を習慣とする)」こと。これで、ぐっすり眠れるようになるというのだ。
Dr Sweeneyらは、2015年以降に発表された研究データを「meta-analysis (メタ・アナリス)」によって精査した結果、たとえ、毎日、運動をしなくとも、週に数回程度、身体を動かすことで「sleep quality and duration (睡眠の質と睡眠時間)」の改善につながることが明らかになったという。
サイクリング、ジョギング、早足 (brisk walking)などの「aerobic excercise (アエロビック・セクササイズ [有酸素運動])」で汗を流した人は、寝付きがよくなって、夜半に目を覚ますこともなく、次の日は快適な朝を迎えることができていたのだ。。
なお、医療データが十分ではないため、軽々な判断は控えなければならないが、不眠症の患者にも、同様の効果が期待できそうだという。
では、いったい、なぜ、運動すると、ぐっすり眠れるようになるのか。現在のところ、この質問に明確に答えることは不可能だ。
ただし、Dr Sweeneyは次のような仮説を立てる。
人間の一日の行動リズムは「internal body cdlock (体内時計)」に支配されている。それは睡眠とて同じ。日没とともに脳の松果体から睡眠ホルモン「melatonin (メラトニン)」が分泌されると、身体は疲労感を覚えて、眠りにつく。これが自然だ。
しかし、日中に運動すると、睡眠ホルモンの分泌が早まって、寝付きがよくなるとの考えだ。
さらに、身体を動かすと、「core body temperature (中核体温)」が高まって、運動後に、もとの体温に戻る。この体温の低下にも、また眠りを誘う効果があるという。
もちろん、運動中の「positive effects on mood and health (気分の高揚)」が「endorphins (エンドルフィン)」の分泌を促すため、それが、夜の快眠につながっている可能性もある。
そこで、十分な睡眠がとれていない人に対するおすすめだ。
それは、毎日30− 60分程度の「exercise (運動)」あるいは「workout (トレーニング)」をすることだ。
・runnning:ジョギング
・swimming:水泳
・lifting weights:ウエイト・リフティング
・brisk walking:はや歩き
など、運動ならなんでも良い。少し汗ばむ程度の運動レベルがベストだ。
おわりに:『地球のはるか向こうに「まどろみ国」があって、そこのお姫さまは、夜になっても「ねむりにつけず」、日に日に顔色がわるくなって、やせてしまいました。』
さて、その原因はなんだったのか。そして、それはどのようにして、解決されたのか。興味のある方は、ぜひ、ご一読を。
・ミヒャエル=エンデ作、アンネゲルト=フックスフーバー絵、佐藤真理子訳:ゆめくい小人、偕成社、1981
(写真は添付のRTE Newsから引用)