自然
人類の祖先「初期猿人」が、樹の上から地上に降りて二足歩行を始めた約700万年−500万年頃、個性あふれる多くの生物も、互いに影響を及ぼし合いながら「進化 (evolution)」を遂げて、地球上の「生物多様性 (biodiversity)」が進んだ。 そして、生物は、その D…
地球人として、非情な扱いを受ける人の姿には、心が痛む。強欲な人間が、ささやかな生活を営んでいる同じ「ヒト族 (Homo)」の、わずかな財産や土地、ときにはその命までを略奪するとは、なんとも情けない生物だ。 この数年、世界的な異常気象が続いたせいか…
ヨーロッパで「水もぐり (dipper)」と言えば、「white-throat dippers (ムナジロカワガラス)」学名[ Cinclus cinclus]のこと。Norwayの国鳥に指定されている水鳥だ。全身が黒っぽいアジア系の「カワガラス」と違って、いつも胸元に白いナプキンをつけた、お…
この時期、山菜採りにバード・ウオッチングもいいが、野山は、何もしないで、ただ自然の中を歩いても、結構楽しい。しかし、気をつけないといけないことがある。それは、マムシでもクマでもない。いや、実はそれよりも怖いものだ。 一つは、漆(うるし)の木。…
「Saturn(サターン)」と呼ばれた「mississippi alligator (ミシシッピワニ)」は、数奇な運命をたどった。 生まれたのはUS (アメリカ合衆国)。すぐにドイツの「Berlin Zoo (ベルリン動物園) 」に寄贈される。それが1936年のことだ。 ところが、その後の1939年…
いかに「尾ひれが付く」とは言え、古代中国人が考えた、尾が9本の化け狐「九尾狐」は、人を煙に巻く話だ。その古い逸話が、朝鮮半島の百済を経て日本に伝わり、狐の妖怪や、狐の化けた女の話が民衆に知れ渡った。その際、日本に帰化した百済人(移民)が、「狐…
我がまま、不埒(ふらち)で無知。その上、軽率な「ヒト属 (Homo)」は、ときに、とんでもないことをしでかす。 その昔、暇と金を持て余した一部の「horticulturist (園芸家)」もそうだった。日本から「イタドリ (Japanese Knotweed)」を持ち出して、自宅の庭に…
人間は、自分こそが「全知全能の神 (The Omnipotent)」であると思い上げっているか、それとも、たた単に、他人が「白」と言えば、自分は「黒」と言いたくなるだけのことなのか、定かではない。 道路の道ばたや公園の外れの、わずかな緑地に生える「wildflowe…
春が来て、可憐に咲き出す花々は、どんなに人の心を安らかにするだろう。しかし、花の命は短い。だから、人は、つい、花々は、か弱いものと思いがちだ。 ところが、それは間違っていた。 Portsmouth大学の Scott Armbruster教授らが UK, Europ, Australia, N…
カナダの公園、大学のキャンパス、道路沿いの並木に植えられたカエデの樹々には、必ずと言って良いほど「grey squirrels (灰色リス)」が走り回っていた。 そのリスが、いつの頃からか、ヨーロッパに持ち込まれて野生化すると、すっかりUKにも住み着いてしま…
「Bird watching」を趣味にしている人が多い。しかし、カモメ(seagulls)だって「Human watching」をしている。カモメの場合は、もちろん趣味とは違う。生き残りをかけて「人間が何をするのか」、その行動を注意深く観察、監視しているのだ。 Exeter大学の Dr…
Koalas (コアラ)はAustraliaを代表する「marsupial (有袋類)」。絶滅危惧種の中でも、絶滅の危険性の高いと判断される「vulnerable species (危急種)」に指定されている。 ところで、昨年の秋以降、Australiaでは各地で森林火災 (bushfires)が相次いで発生し…
ブタ肉は栄養価の高いタンパク源。ところが、今、世界中の養豚農家を震撼させているのは「African swine fever (アフリカ豚コレラ)」だ。 「The World Organaisation for Animal Health (世界動物保健機関)」によると、この豚コレラウイルスは、人間にとって…
地球上の昆虫が激減している。原因は自然破壊と殺虫剤。 「虫は大嫌い」と言う人が多い。しかし、ダンゴムシ (roly-poly bugs)、トビムシ(springtails)、ゴミムシ (ground beetles)などは、地面の落ち葉や枯れ枝を分解し、土に戻す昆虫。それは、生態系の土…
植物 (plants)は地球の生態系のバランスを保つためには、無くてはならない存在だ。地球上の生物の食糧・餌となり、大量の酸素O2を供給してくれるばかりか、人類にとっては、有用原料・医薬品素材として欠かせない大切な生物資源でもある。 ところが、最近にな…
つい、十数年前まで、秋の空には、数え切れないほどの赤とんぼが飛び交っていた。もう、二度と、そんな風景を見ることはないだろう。 トンボに限らず、フンコロガシ、ミツバチ、コーロギ、カマキリも皆、地球上にあっって、ともに生を営む生物の仲間だ。 昆…
カタツムリ (snails)にも右巻きと左巻きが存在し、人間にも右利きと左利き (left-handed)がいて、その比率はおよそ10:1だ。 なぜ、左利きの人が現われるのか。これまでの研究で、両親が左利きであれば、生まれた子どにも、左利きが多くなることが分かってい…
きれいな水が流れる河川や湖で、この世の物とは思えないほど美しい真珠が見つかることがある。 ドイツの絵本作家「Jelme Heine (ヘルメ・ハイネ)」の作品「The Pearl (真珠)」(英語版)は、次のような出だしで始まる。 "Slowly the little sailboat drifted aw…
賢人 (wise man)。これまた、大それた、驕(おご)った名前を付けたものだ。些細(ささい)なことで他人を傷つけ、殺す、または他人を騙(だま)す輩(やから)は、到底、賢人とは呼べない。 それなのに、人類のラテン語名は「Homo Sapience (ホモ・サピエンス)」。「…
「shark (鮫)」が、なぜシャークと呼ばれるようになったのかは、誰も知らない。英語には珍しい語源不詳の語彙 (vocabulary)だ。 その凶暴、貪食、冷酷な魚は、4つ足の冷血動物 Crocodile (ワニ)と並んで、悪の象徴。いずれも、嫌な目つきをしている。 しかし…
とめようにも、止まらなくなった「global warming (地球温暖化)」。お陰で、気候が狂い出し、これまで経験したことがないほどの熱波、水不足、山火事、大洪水が、世界中で頻繁に発生するようになった。 今さらではあるが、なんとか、この「気候変動 (climate…
Scotlandの中央部は、山岳地帯の「Scottish Highlands (ハイランド地方)」。そこに、UK最高峰の「Ben Nevis (ベン・ネヴィス山)」(標高1,345m)が、雄大に佇(たたず)む。 登山者は年々増え続け、今では年間16万人が頂上を目指す人気の山となった。 しかし、こ…
オーム科オーム属の「long-billed corellas (天竺巴旦 [テンジクバタン])」。この白い鳥はAustralia、New Zealandの「native species (在来種)」で、クチバシが大きく、喉元に太い橙色の線が入る。寿命が人間とほぼ同程度に長く、器用に舌を動かして、人声を…
カモメとウミネコは鳴き声が違うだけで、どちらもカモメ科に属する海鳥だ。海のギャングとも、浜辺の掃除屋とも言われる。 私は、あの目つきが大嫌いだ。まるで、隙があれば、他の鳥のヒナや卵を盗み取ろうと常に狙っている、冷酷にして貪欲な目つき。それは…
Scotland自治政府の首都「Edinburgh」の中心から東へ5miles (8km)の地に、「Forth of Forth (フォース湾)」に面した、人口 2万人強の町「Musselburgh (マスルバラ)」がある。 「Mussel」とはムール貝 (イガイ)のことで、「burgh (バラ)」とは古英語で「town…
London市内を流れる「River Thames (テムズ川)」。その北側の岸辺に殺風景な「Tower of London (ロンドン塔)」が建つ。ここは、歴史的な要塞にして武器・宝物(ほうもつ)の保管庫であり、堅固な牢獄、処刑場でもあった。 ロンドン塔は、「怖いもの見たさ」の…
EU (欧州連合)の予算の50%以上が、加盟国29ヶ国の「The Common Agricultural Policy (共通農業政策)」に拠出され、21世紀の「環境に優しい農業 (environmental-friendly farming)」を目指した「The agri-environmental schemes (農業・環境計画AESs)」が進め…
「fortune (幸運)」、「misfortune (不運)」はどこにでも転がっている。しかも、その違いはコインの裏表どころではない。幸運は「打ちでの小槌」になりうるが、不運の落とし穴は、まるで「Black hole」。これに、はまると、全ての努力が、ムダに吸い込まれて…
Scotlandは北の国。その北東端に「Orkney islands (オークニー諸島)」が点在する。そのまた北の端の、北緯 59.37度の海面に浮かぶ小島が「North Ronaldsay (ノース・ロナルドゼィ島)」。面積がわずか690haの荒涼とした地に、住人約60人が住む。 この島の波打…
本当は、脆弱 (fragile)で気弱 (timid)な「生き物 (organism)」なのに、「強いものが生き延びる」などと勝手なことを言い、人類は、ずいぶんとひどいことをして来た。少数民族をいじめて、虐待し、金(かね)目当て、自己利益のためだけに森林を破壊し、河川や…