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イガイ (ムール貝)の浅瀬の異変解明:イガイに住み心地が悪い! (BBC-News, July 8, 2019)

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 Scotland自治政府の首都「Edinburgh」の中心から東へ5miles (8km)の地に、「Forth of Forth (フォース湾)」に面した、人口 2万人強の町「Musselburgh (マスルバラ)」がある。
 「Mussel」とはムール貝 (イガイ)のことで、「burgh (バラ)」とは古英語で「town」のこと。つまり「Musselburgh」は「ムール貝の町」の意味だ。

 今から約2,000年前の AD80年、古代ローマ人がScotlandに侵攻し、この地に「fort (要塞)」を築いた。このとき、フォース湾の浅瀬で、ムール貝が大量に捕れた。古代ローマ人は、舌鼓を打って、大いにその味を楽しんだに違いない。

 今でも新鮮なムール貝は高値で取引される上、汚れた海水を浄化する「filter-feeder (フィルター・フィーダー)」であり、岩礁にへばり付いて頑強な防波堤の役目を果たす優れものだ。
 繁殖力は、サザエなどとは比べようのないほど強い。しかし、近年、日本近海で、めっきり「イガイ (ムール貝)」の生息海域が減った。その事情は、UKでも同じだ。

 Edinburgh Napier大学の Dr Karen Dieleらの研究グループは、ムール貝の驚くべき生態の事実を発見した。
 ムール貝にはもちろん聴覚器官がない。しかし、クジラやイルカと同じように、海中のノイズに敏感で、これが大嫌い。それどころか、モーターボートや水上スクータなどのエンジン音が海中に響き渡ると、これがストレスとなって「DNA integrity (ゲノムDNAの無欠性)」に異常を起こす。すると、酸素の消費量が12%落ち込み、逆に、エネルギー消費量が増して、生育速度はガタ落ちすることが分かった。

 さらに、海水中のプランクトン・藻類を摂取する速度が80%も減少し、口を開ける時間は60%も長くなる。つまり、海中のノイズでムール貝は疲れ切ってガタガタになり、アングリと口を開け続けてしまうというのだ。これでは、周りをうろつく魚に、「食ってくれ」というようなもの。
 「海洋レジャーだ」、「海洋開発だ」などと呆れたことで金儲けを企てたり、海を汚染する輩 (やから)が増えた。ムール貝もそっぽを向くはずだ。
 
 さて、このように「molluscs (軟体動物)」でさえ、ノイズがストレスになって、DNAに異常を起こす。ムール貝よりも遙かにデリケートな「人類 (Homo)」に異常が現われないとは考え難い。しかし、騒音公害については、政府、関係機関、新聞・マスコミは極めて及び腰だ。とくに、新聞の売り上げだけを気にし、騒音防止条例に違反して早朝から日暮れまであらん限りの奇声を上げては周辺住民の迷惑甚だしい高校野球を煽(あお)り、褒め称える新聞社には、正義、公正、誠実の文言を使ってもらいたくないものだ。
                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

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