左利きは、なぜお利口:遺伝子変異が脳の灰白質構造を変えていた! (BBC-Health, September 5, 2019)
カタツムリ (snails)にも右巻きと左巻きが存在し、人間にも右利きと左利き (left-handed)がいて、その比率はおよそ10:1だ。
なぜ、左利きの人が現われるのか。これまでの研究で、両親が左利きであれば、生まれた子どにも、左利きが多くなることが分かっていた。どうやら遺伝子が関係していそうだ。また、左利きと、右利きでは、体のどこが違っているのか、それも謎だった。
Oxford大学の Gwenaëlle Douaud教授らの研究グループは、UK Biobankに登録された約40,000人の遺伝子コードDNAを徹底的に調べた結果、右利きと左利きには遺伝子の違いがあることを発見した。(研究内容の詳細は医学雑誌「Brain」に発表。)
その研究は「a giant game of spot-the-difference (大がかりな間違い探しゲーム)」のようなものだったという。
Douaud教授らの研究によると、左利きの人には遺伝子に「mutations (変異)」が認められ、それが「cytoskeleton (細胞骨格)」に、右利きとは違った指令を与えていた。
「genetic variants (遺伝子変異体)」から指令を受けた細胞骨格は、脳内の「white matter (灰白質)」の構造まで変え、そのお陰で、左利きは、右利きに比べて、次の特徴があることが分かった。
・better verbal skills:言語能力が優れている
・slightly higher risks of schizophrenia:総合失調症のリスクがわずかに高い
・slightly lower risks of Parkinson's disease:パーキンソン病のリスクがわずかに低い
しかし、左利き (left-handed)の人には、不当に差別されて来た歴史があり、フランス語で「gauche」とは「左」または「clumsy (不器用)」を指し、英語の「right」には「右」の他に「to be right (正しい)」の意味を持たせている。反対に「left-handed」は「unlucky (不幸)」を招く、あるいは「malicious (意地悪)」だ、との偏見の目で見られて来た。
ただし、左利きが遺伝的であるとしても、遺伝子変異の関与は25%、残りの75%が、生育環境によって決まる。
また、Douaud教授らの研究は、イギリス人だけを対象にし、それも「genetic components (遺伝子成分)」のほんの1% を調べた結果に過ぎない。したがって、「genetic variants (遺伝子変異体)」と「handedness (利き手)」との関係については、さらなる研究が必要とのこと。
(写真は添付のBBC Newsから引用)