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プラスチック抜きの餌が食べたい:ノルウェーの国鳥の嘆き! (BBC-Health, May 20, 2020)

Dipper

ヨーロッパで「水もぐり (dipper)」と言えば、「white-throat  dippers (ムナジロカワガラス)」学名[ Cinclus cinclus]のこと。Norwayの国鳥に指定されている水鳥だ。全身が黒っぽいアジア系の「カワガラス」と違って、いつも胸元に白いナプキンをつけた、お上品な鳥。

 急流の川底を歩いたり、水中にもぐって水生昆虫やカニ、小さな川魚を捕食する。ときには、川底の小石を足で蹴って、「lugworm (ゴカイの仲間)」を捕まえる。

 ところが、近年、世界中の河川が、主として「synthetic  clothing fibres (合成繊維)」や、塩ビ管、プラスチック板などの「building materials (建築資材) 」、「tyre dust (タイヤ・ダスト)」のマイクロプラスチック (大きさ 5mm以下) で汚染されるようになった。

 Wales南部の河川で調査した研究によると、サンプリングした水生昆虫の約50%から microplastics (MPs)が検出されている。 

 水生昆虫の体が MPsで汚染されると、これを捕食する魚、小鳥、カニ類、カエルなどが、その体内にプラスチックを取り込むことになり、食物連鎖 (food chain)と「生物濃縮 (biological accumulation)」によって、生態系内で、その汚染濃縮が急激に進む。やがて、大型の動物、あるいは食物連鎖の頂点に立つ人類に、未知の健康被害が起こりかねない。

Worm

 Cardiff大学の Steve Ormerod教授らの研究グループは、Wales南部の河川15箇所で、「white-throated dipper (ムナジロカワガラス)」の「regurgitated pellets (消化できずに吐き出す、鳥類特有のペリット)」と「droppings (糞)」を調べたところ、その水鳥は、餌をとおして、1日平均約200ヶの MPsを体に取り込んでいることを発見した。(研究の詳細は「Global Change Biology」に発表。)

 さらに、ヒナ鳥 (chicks)が巣立ちするまで、親鳥がヒナに与えるMPsは数千に及ぶことも判明。

 今や、マイクロプラスチック (MPs)は、深海まで汚染し、アザラシ、カニ類、水鳥の体がこれに汚染されるようになった。人間の臓器からミクロの「合成繊維」が次々と検出される日がやって来るのは、おそらく、時間の問題だ。

 

謝辞:この一文をまとめるに当たって、以下の優れた「The Guardian」の記事も参照した。記して謝意を表したい。

The Guardian: May 22, 2020

・Microplastic pollution in oceans vastly underestimated  - study

                               (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com