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人間を襲う前に:人間に食い尽くされて、絶滅したクマ! (BBC-Science & Environment, August 15, 2019)

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 賢人 (wise man)。これまた、大それた、驕(おご)った名前を付けたものだ。些細(ささい)なことで他人を傷つけ、殺す、または他人を騙(だま)す輩(やから)は、到底、賢人とは呼べない。
 それなのに、人類のラテン語名は「Homo Sapience (ホモ・サピエンス)」。「wise man」の意味だ。

 その人類の祖先が、アフリカ大陸からヨーロッパ大陸に渡ったのは、「後期更新世 (Late Pleistocene)」に当たる約4万年前のこと。そこには、洞窟 (caves)を「ねぐら (dens)」にする「cave bears (ホラアナグマ)」が、数多く生息していた。それは、肉食よりも草食を好む、現在の「brown bears (ヒグマ)」と祖先を同じくするクマの仲間だった。

 そのクマが、約2万4千年前、地球上から姿を消して絶滅する。絶滅の原因は何だったのか。それは、これまで、研究者の間で物議を醸(かも)して来たテーマだった。

 そこで、Zurich大学の Verena Schuenemann教授らの研究グループは、ヨーロッパ各地 (Switzerland, Poland, France, Spain, Germany, Italy, Serbia)の洞窟14ヶ所で採取した「cave bears」の化石から「mitochondrial DNA (ミトコンドリアDNA)」を抽出して分析し、「cave bears」の棲息域とその移動過程、ならびに絶滅に至った経緯を探った。

 すると、「cave bears」が急激に個体数を減らした時期は、人類がヨーロッパ大陸に渡った約4万年前に一致した。
 これまでの絶滅説の中には、最終氷期 (The last Ice Age)にあって、餌となる植物が減少したためと、説明するものもあったが、厳しい氷期が始まったのは、人類がヨーロッパ大陸に到達して約1万年後のことだ。

 つまり、確かに、氷河期にあって、氷期、間冷期が繰り返す中で、餌が不足したのは事実かもしれない。しかし、「cave bears (ホラアナグマ)」に、致命傷となる一撃「a decisive role」を与えたのは、紛れもなく人類だった。
 人類にとって、洞窟 (caves)は、「cave bears」同様、寒さと外敵から身を守るためには欠かせないものだった。それに、何よりも、「cave bears」はご馳走だったに違いない。
 人類は、クマが襲うと言っては、クマが襲う前に、これを食い尽くしてしまったのだ。

謝辞:この一文をまとめるに当たり、以下の優れた「The Guardian」の記事も参照した。ここに記して謝意を表したい。

The Guardian: August 15, 2019
・ Humans played key role in cave bear extinction, study suggests

                  (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com