健康・医療
小さな町に小さなお茶屋さんがあった。戦後、そこの主人が復員し、町の小学校の補助教員になった。若い正規の先生よりも身分は低く、教員室の隅っこに先生の机があった。しかし、低学年の子どもを虐(いじ)める悪ガキの上級生に対しては、容赦なく、そのほっ…
突然、倒れて気を失う。これが「epilepsy (てんかん)」。脳の神経細胞が過剰に興奮して起きる神経疾患だ。ちまたでは「遺伝性」との噂が流れるが、原因は「遺伝性」だけにあるわけではない。「てんかん」は、種々のタイプに分類され、実は、その発症原因につ…
江戸の頃まで「労咳(ろうがい)」と呼ばれ、「不治の病」として人々から恐れられた「tuberculosis (結核TB)」。その感染力は強く、特効薬の抗生物質「ストレプトマイシン」が開発されるまでは、多くの人命を奪った。また、近年になっても、医者の診断・措置ミ…
「お多福」面は縁起物として、かって縁日の露店で売られていた。あの、ほっぺたがふっくらとして、目の細い女の顔には独特の愛嬌が漂う。 その名前のついた病気に「おたふく風邪 (mumps)」がある。UKでは1988年、3種混合ワクチン (MMR vaccine)が導入された。…
女性の最大の敵は、なんと言っても「乳ガン (breast cancer)」だ。それも、40代の発症リスクが高い。 乳ガン腫瘍細胞は狡猾だ。ガン細胞内に、女性ホルモン「oestrogen (エストロゲン)」を食い物にするための道具「osetrogen-receptors (エストロゲン受容体)…
「Artificial Intelligence (人工知能AI)」が、医者のガン診断能力を超えた。これは、この5月20日(月)に発行された医学雑誌「Nature Medicine」の話題だ。 肺ガンは年間180万人以上の命を奪う恐ろしい病気。とくに、喫煙者に、その発症リスクが大きい。USで…
誰でも有り余るお金を持っているわけではない。それでも、他人の目を気にせず、好き勝手なことができる時代になった。 ただの「駆けっこ」なのに、「ランニング」と呼び、シューズ、パンツ・ウェアなど一流選手並の「ランニング用具一式」を揃える。また、「…
ガン腫瘍細胞を叩きつぶす、画期的な「荒技」の開発に成功した。 ガンの治療に適用される、抗がん剤を用いた「chemotherapy (化学療法)」。患者は体の正常な細胞も傷つけられ、ボロボロになるが、医者は、これで、ガン細胞の増殖・転移が抑えられると言って、…
「薬 (くすり)」は、なにも医薬品 (medicines)だけとは限らない。『苦労は身のくすり』とも言う(学研 現代国語辞典)。金田一春彦氏は、その辞典の中で「心や体のために役立つ物事」とも定義する。したがって、入浴に運動や懐石も、りっぱな「薬」ということ…
「anti-bacterial (抗菌性)」、「anti-fungal (抗真菌性)」があり、黄ばんだ歯を白くし、虫歯予防にも効果がある。これを毎日、毎日 TVコマーシャルで繰り返して流されると、誰でも買ってみようかと思ってしまう。なに、「活性炭歯磨き (charcoal toothpastes…
医者に「痛くもない腹を探られる」のは、かなわない。しかし、もっと悪質で我慢がならないのは、頭が痛いというのに、腹痛の薬を処方する医者だ。これは大袈裟な喩(たと)えと、関係者は苦言を述べるだろう。ところが、誰でも、大なり小なり、似たような経験…
江戸時代に比べて、日本人は、ずいぶんと背が高くなった。それはUK、ヨーロッパ諸国の人とて同じだ。人間の、走る、飛ぶ、投げる、泳ぐなどの運動能力も飛躍的に伸びて、オリンピックでは、毎回、記録が更新される。 人類すなわちヒト属 (Homo)は大型になり…
とくに病気でもないのに、お腹(なか)の調子が今一つ。病院で診察、治療を受けても、症状は、なかなか改善しない。こんなとき、「irritable bowel syndrome (過敏性腸症候群 IBS)」の疑いがある。 IBSの代表的な症状は次のとおり。 ・stomach pain or cramps…
「どうしようもないもの」、「如何ともし難いもの」は、世の中に幾らでもあるが、中でもとりわけ「どうしようもないもの」は、膨らみ続ける「医療費」とその医療に携わる人、これを受ける側の「意識改革」だ。 どんな病気であれ、医療の基本は「precaution (…
森林に「松くい虫」が発生したからと言って、森全体に殺虫剤を大量に散布したら、森の植物・動物も大変な被害を受ける。また、森に「人食いグマ」が現われたからと言って、ところ構わず森に銃弾を浴びせたら、そこに生息する小動物も、いや人間さえ危険だ。そ…
ヒト属「Homo」は進化の過程で失ったものも多い。仲間を慈 (いつく)しむ心を失い、ケガの治癒力も細胞の再生力も、他の脊椎動物に比べてはるかに劣るようになった。 ヒトは、怠けがちで、二十歳 (はたち)を過ぎたばかりだというのに、歩くのも面倒だと言うヒ…
カナダで研究生活を始めた当初、緊張した場面では、しょっちゅう「yesterday」と「tomorrow」を言い間違えた。頭の中で混乱が生じるのだ。 同じようなことが「spatial awareness (空間認識)」でも起こると言う。 そこに、片目をつぶった顔の写真があるとする…
ジッと鏡を見つめては、ため息。自分の容相に満足している人は少ない。ああ、目がもっと大きかったら、眉毛がもっと厚かったら、そして鼻がもっと高かったらなどと、クヨクヨと悩み、心を痛めるのは、人間の性(さが)か。 そんな人 (とくに女性) の心のスキに…
これは現代に生きる「witches (魔女)」だ。Scotlandの「Loch Ness (ネス湖)」南西に、戸数100件足らずの小さな村「Whitebridge (ホワイトブリッジ)」がある。 その村の住民 Ms Jo Cameron (65歳)は、嫌なことなど直ぐ忘れ (forgetful)、クヨクヨしない (less…
ワンくんの「超能力ESP (Extrasensory Perception)」には驚く。「sniff! (クンクン)」で何でも分かる。台所で作っている今晩の料理はもちろん、台所に立っている人、そして、その人の健康状態まで、一瞬にして、かぎ分けてしまうという。その辺の勉強嫌いの…
論語に「牛刀を以って鶏(にわとり)を割く」とある。大したことのないのに、大げさに牛刀を持ち出す人に対する戒めだ。 これまで、乳ガン (breast cancer)と診断されると、抗ガン剤「Herceptin (ハーセプチン)」に頼ったり、性ホルモン「oestrogen (エストロ…
人間に取り憑く病気の原因の、東の横綱が「高血圧」だとすれば、西の横綱は悪玉コレステロールLDL (Low-Density Lypoprotein)だ。LDL値が高すぎると、血管 (blood vessels)内壁にスケールが積み重なって血流を詰まらせてしまう。その結果、心臓・脳に酸素が十…
好き嫌いを先に言って、大人げないが、「三年寝太郎」は大嫌い。母親を騙し、長者とその娘をだまし、鎮守の神様をもだまして巨万の富を自分のものにするなどとは、神も仏もないとんでもない昔話だ。誰もこれをまねるようなことがあっては、ならない。 しかし…
人類が、今、最も必要としているものは、何か。 それは、敵を殺戮する武器でもなければ、暇つぶしのためのゲームの開発でもないし、スポーツ人材育成と称して膨大な額の国税を強化合宿などにつぎ込むことでもない。。 病気で苦しむ数十億人の人を救うことが…
赤ちゃんが誕生した瞬間に、細胞内の神秘な時計がコチコチと動き始める。 遺伝子に刻み込まれたスケジュールに従って細胞分裂が繰り返えされ、神経組織や臓器を完成せて行く。さらに子どもが成長して思春期・青年期を迎えると、遺伝子はホルモンを分泌するよ…
HIV/Aids (エイズ)が、一頃ほど、マスコミで騒がれなくなったとは言え、世界中の患者数は約3,700万人。日本でも27,000人がこのウイルス性難病に罹患している。 ヒト免役不全ウイルスHIV-1は、主として受容体CCR5と結合して感染し、体の細胞に侵入する。 これ…
世界保健機関WHOによると、「うつ病(depression)」で苦しむ人は世界で約3億人。鬱はうつでも特にやっかいなのは、抗うつ薬が効かない「treatment-resistant depression (治療抵抗性うつ病)」。これに罹患する患者数は、USだけで推定740万人。普通の抗うつ薬…
孫子の「兵法」に、戦いに勝つためには、敵を知ることとある。病魔に打ち勝つためには、病魔のクセを知ることが必要だ。 しかし、毎日の仕事に追われて、あるいは思い上がった気持ちに浮かれて、他人の幸せや自分の体のことにさえ思いを馳せる余裕を見失い、…
ガン患者の誰もが、皆太っているとは限らないし、太り過ぎの人が、必ずしもガンに罹るとは限らない。それは、そうだが、肥満 (obesity)は、ガンの発症リスクを確実に高める。では、一体なぜ、体に脂肪が溜まるとガンに罹りやすくなるのか。現在、もっとも有…
人は、なぜ、「うつ(depression)」になってしまうのか。うつ病は6人に1人が発症する精神疾患で、人の体を「disability (不自由)」にしてしまう、最大の原因とされる。 うつ病の主な症状は以下のとおり。 ・low mood:意気消沈・lethargy:倦怠感・lose of pl…