ヒロシのWorld NEWS

世界のニュースを日本語でお届け!

エイズの遺伝子治療:幹細胞移植でHIVウイルスの撲滅に成功! (BBC-Health, Mar 5, 2019)

https://ichef.bbci.co.uk/news/834/cpsprodpb/17D20/production/_105886579_gettyimages-943431290.jpg

 HIV/Aids (エイズ)が、一頃ほど、マスコミで騒がれなくなったとは言え、世界中の患者数は約3,700万人。日本でも27,000人がこのウイルス性難病に罹患している。
 ヒト免役不全ウイルスHIV-1は、主として受容体CCR5と結合して感染し、体の細胞に侵入する。
 これまで、エイズ治療薬が、幾種類か開発され、これを服用すると、症状が安定し、普通の生活を送ることも可能になった。しかし、このウイルスを死滅させ、体から完全に排除することは困難であった。

 幸いにして、まれに、変異した受容体を遺伝学的に有し、HIVに対して抵抗力のある人が見つかることもある。このような人には、HIVは感染できず、したがって、体の細胞内に侵入することもできない。

 University College London, Imperial College London, Cambridge大学, Oxford大学の合同研究チームは、その受容体CCR5の特殊な「遺伝子変異体 (genetic mutation)」を有するドナーから「stem cells (幹細胞)」を抽出し、これをHIV患者に移植して患者の体内のHIVを撲滅することに成功した。(研究結果の詳細は科学雑誌「Nature」に発表。)

 この画期的な治療を受けた患者は、Londonに在住の男性。2003年、HIVに感染していると診断され、その後、「Hodgkins's lymphoma (ホジキン・リンパ腫)」を発症していた。
 これまで、その悪性リンパ腫を治療するため、「chemotherapy (化学療法)」を受けていた患者だ。今回の「幹細胞移植 (stem cell transplant)」は、あくまで悪性リンパ腫の治療が主たる目的だったという。

 実は、HIVを完全に体から排除することに成功した例は、10年前にもあった。このときには、HIVに対して「natural immunity (自然免疫)」を有するドナーの「bone-marrow (骨髄)」が使用された。これをBerlinのHIV患者に2度にわたって移植し、同時に、「白血病 (leukaemia)」の治療のために「total body irradiation (全身放射線治療)」が施された。

 研究者らは「HIV感染症を完治させた」とするには、時期尚早としながらも、HIVを患者の体内から締め出すことに成功した喜びを隠し切れない。この「幹細胞移植」治療の研究結果が、世界中でHIV/Aidsに苦しむ3,700万人を直ぐに救うことにはつながらないが、「遺伝子治療(gene therapy)」の有効性が証明されたことは確かだ。

                 (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com