がん細胞はしたたか:ならば、だまして進化させ、叩きつぶせ! (BBC-Health, May 16, 2019)
ガン腫瘍細胞を叩きつぶす、画期的な「荒技」の開発に成功した。
ガンの治療に適用される、抗がん剤を用いた「chemotherapy (化学療法)」。患者は体の正常な細胞も傷つけられ、ボロボロになるが、医者は、これで、ガン細胞の増殖・転移が抑えられると言って、慰める。
ところが、どっこい。ガン細胞はしたたかだ。抗ガン剤で死滅することは、ほとんどない。それは、まさに、ゴミ捨て場のハエを殺虫剤で絶滅させようとするようなものだ。
どんなに、強力な殺虫剤を使っても、100%のハエを死滅させることは不可能。生き残ったハエは殺虫剤に抵抗力をもつように進化し、それまでの殺虫剤が何の効果も果たさなくなることは、よく知られた事実。
ガン細胞も同じで、抗がん剤に順応できるように、自らを進化させて、抗がん剤に対して抵抗力を身に付けてしまう。
そればかりか、免疫システムの役割を担う、タンパク分子(protein molecul)の「Apobec」
・Apolliprotein B mRNA editing enzyme, catallytic polyprepide-like
(アポリタンパク質B-mRNA編集酵素触媒ポリペプチド様物質)
をハイジャックして、増殖を続ける。
これでは、一旦、回復したかに見えたガン患者も、医者も、なすすべがない。ガン細胞は、すぐに再発 (relapse)し、いとも簡単に患者の命を奪う。
それでは、どうすれば良いか。
「The institute of Cancer Research (英国ガン研究所ICR)」の Paul Workman教授らの研究グループは、これまで、ハイジャックされた「Apobec」の機能を停止させる薬剤の開発に成功しているが、今回、さらに、ガン細胞の進化を巧みに操(あやつ)る「breakthrough treatment (画期的な治療法)」を開発した。
ガン細胞は、抗ガン剤から逃げるために進化する。これをくい止められないのであれば、待ち伏せ攻撃できるような道に誘い込む方法、すなわち「evolutinary herding (進化の誘導)」しかない。ガン細胞を「vulnerable cells (脆弱な細胞)」に進化させて、これを叩きつぶす作戦だ。
初期の実験では、有望な成果を得ている。ただし、この治療法が実用化されるまでには少なくとも10年は必要とか。
(写真は添付のBBC Newsから引用)