現代の魔女がScotlandに出現:騒ぎに動ぜず、痛みも感じない! (BBC-News, March 28, 2019)
これは現代に生きる「witches (魔女)」だ。Scotlandの「Loch Ness (ネス湖)」南西に、戸数100件足らずの小さな村「Whitebridge (ホワイトブリッジ)」がある。
その村の住民 Ms Jo Cameron (65歳)は、嫌なことなど直ぐ忘れ (forgetful)、クヨクヨしない (less anxious)性格の持ち主だった。かえって、周りの人がイライラするほど、何事にもおおらかで、「少しくらい」のことでは驚かないタイプの女性だった。
そう、少しくらい。オーブンで手が焼け焦げたって、車の衝突事故を起こしたって、Ms Cameronには「少しくらい」なのだ。当人は全く平気で、他人が慌てふためき、右往左往しても、まるで何事もなかったかのように「ケロリ」とした表情。
そもそも、Ms Cameronは常人とは異なり、「痛み」を感じない。
不思議と言えば、Ms Cameronが、自分の特殊な体に、今の今まで全く気づかなかったことも、また摩訶不思議。
この度、「関節炎(arthritis)」を患らって、歩けなくなるほど悪化し、病院で手術を受けた。このとき、担当した麻酔医 (anaesthetist)の Dr Devyit Strivastavaは、耳を疑う。手術を受けた後の「painkillers (鎮痛剤)」は必要ないと、患者が言うのだ。
そこで Dr Strivastavaは、その患者を University College London、Oxford大学の専門家のもとに連れて行き、遺伝子検査を受けてもらった.。すると、なんと、Ms Cameronは痛みを感じない「遺伝子変異 (genetic mutation)」を持っていることが分かったという。この遺伝子が見つかったのは、世界で2人目。(Dr Strivastavaらの研究結果の詳細は、医学雑誌「British Journal of Anaesthesia」に発表。)
しかも、痛みを感じないだけではなく、Ms Cameronは傷の快復力も人並み以上に優れていた。
なお、外科手術を受ける患者は、世界全体で年間3億3千万人に及ぶ。手術中の痛みは、麻酔が効いてなんとか凌げるが、問題は、その麻酔が切れた後だ。患者は相当の痛みを覚悟しなければならない。
研究者は、今回の特殊な遺伝子の発見が、「痛みを伴わない新たな外科手術」および「wound healing (創傷治療)」の開発につながることを期待している。
超能力を持った「witches (魔女)」は、やっぱりいたのだ。
(写真は添付のBBC Newsから引用)