あお向け、横向き、うつ伏せ:どれがもっとも理想的な睡眠姿勢? (RTE-News, Aug 27, 2023)
ベッドに入っても、なかなか寝付けないときは、横向きになったり、仰向けになったりと、その姿勢をあれこれと変えてみる。
ところが、寺の修行僧には睡眠姿勢が決められていて、涅槃仏(ねはんぶつ)と同じように、からだの右横を下にして眠るとか。
では、一般人にとって、医学的に推奨される快眠姿勢とは、どのようなものか。この疑問に対して、「Spinal Surgeon (脊椎外科医)」の Dr Derek Cawleyが答える。
Dr Cawleyによると、そのそも、人間が赤ちゃんのときは、睡眠姿勢の 3とおり
・on the side:横向き
・on the back:仰向け
・on the front:うつ伏せ
のそれぞれを 1/3ずつ使い分けている。
ところが、成長するにつれて、横向きになって眠る傾向が強くなる。その理由として挙げられるのは
・acid reflux:胃酸逆流
・airway issues:気道障害
・back problems:腰痛
また、人間は、年をとるにつれて、その脊椎 (背骨)の湾曲 (S字型)がやや大きくなるため、仰向けになって眠るよりも、横向きになって眠る方がしっくりした姿勢に落ち着くという。
なお、「spine’s curvature (脊椎のS字型)」は、立っていようが仰向けになって寝ようが、ほとんど変わらない。したがって、立っているときに腰痛を覚える人は、寝ても同じ箇所に痛みを感じる。そこで、横向きになって寝ようとするのだ。
さらに、横向き姿勢になりがちな理由として
・加齢に伴って、やや猫背 (stoop in the back)になり
・日中、あまりにもデスクワークに時間をとりすぎて、股関節 (hips) に歪みが生じている
ことにある。その結果、ベッドに横たわると、からだは、自然に、「in a flexed position (屈曲位)」のポーズをとってしまうのだ。
さて、そこで、Dr Cawleyが「the first and golden rule (第一の黄金律)」としてすすめるポイントは
・" Be it comfort and support” (からだにとって心地よい姿勢で寝ること)
すなわち、からだのどこかに痛みを感じるときは、その痛みが少しでも和らぐ睡眠姿勢をとることが重要だ。例えば、左脚に「sciatica (坐骨神経痛)」を抱える人は、右脚を下にして横向きになると、左脚を楽に伸ばして眠りにつける。
ただし、横向き (sleeping on our sides)は、
・shoulder and hip problems1:肩凝り、股関節炎
を招く恐れもある。こんなときは、もう一つ別の枕を両脚の間にはさむか、腰の後ろに枕を置くと良い。この方法は、数十万円もするのに、その効果が人によって大きく違う「快眠マットレス」に比べて、かなり安あがりだ。
なお、枕 (pillows)を選ぶときも同じ。好みは人それぞれ。自分が気に入って、よく眠れるものであれば、それが最適ということになる。
おわりに:睡眠姿勢に関してもSNSで情報が溢れている。しかし、医学的な情報に関しては注意が必要だ。信頼できる情報とは、その内容が権威ある医学雑誌に掲載され、国際的な複数の専門家によって認められていなければならない。また、論文・記事の執筆者が、斯界で認められた専門家であり、記事の内容の出典が明記されていることが望ましい。
(写真は添付のRTE-Newsから引用)