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脳はこうして老化する:だから、若年認知症にならないために! (RTE-News, Mar 31, 2021)

Author and brain expert Professor James Goodwin tells Liz Connor about a few simple lifestyle changes to help slow and even reverse cognitive decline.

 どんなに筋肉を鍛え、心臓が丈夫で、足腰がしっかりしていたところで、脳卒中を発症して脳がダメージを受けたり、脳の老化が進んで、十分機能しなくなったら大変。脳は、思考、感情、記憶、人格をつくり、ホルモンバランスを保ち、運動機能に命令を与える司令塔だ。

 

 しかし、ほとんどの人は、どうすれば健康的な脳を維持し、その老化を防ぐことができるのかについて知らない。好きなものだけを好きなだけ食べて、身体を動かすこともなく、1日の大半をTV・モニター画面の前に座っていては、どんな人でも脳の老化が進んで、認知症に陥るだけだ。

Professor James Goodwin (James Goodwin/PA)

 そこで、脳神経学が専門の James Goodwin教授は、脳の健康維持、脳の若返りの秘訣を取り上げて、これを簡潔に説明する。

 Goodwin教授は、最近、以下の著書

 

・Supercharge Your Brain: How to Maintain A Healthy Brain Throughout Your Life, Transworld Publishers, 2021

 

を出版し、「The Global Council on Brain Health」のスペシャル・アドバイザーで、かつ「Exeter University Medical School」の評議員 (chair)として活躍する第一線の脳神経学者だ。

 

 Goodwin教授によると、脳の老化を防ぎ、いつまでも若々しい脳(気分、人格)を保つためには、次の 4項目に注意することだと言う。

 

1.Make movement a part of your day:運動を毎日の生活の一部に

 そもそもヒト族「Homo」は、太陽が昇るとともに、身体を動かす狩猟採集民だった。手にした獲物・食糧は公平、平等に分かち合った。ところが、その後、農耕文明が広まって貧富の差が顕著になると、働く者 (支配される者)と命令する者 (支配する者)との区別、差別が生まれ、さらに、科学技術が発展するにつれて、肉体労働が減り、サービス産業が他の 1次、2次産業を牛耳(ぎゅうじ)る社会構造に変わった。

 こうして現代社会にあっては、多くの人間が、イスに座ってモニター画面にすがりつく生活スタイルを余儀なくされるようになった。

 

 ヒト属は、その長い歴史の中で進化 (evolution)し、賢者 (wise people)になったつもりでも、足・腰の筋力、運動能力はおろか、脳も退化 (devolultion )している恐れがある。その証拠に、近代社会に入っても、民族間の争いは解決できず、人殺し、略奪、騙(だま)し合い、戦争がなくなることはなかった。

 

 そして、今、どの国の街にも、仕事をせず、そうかと言って勉学には見向きもせず、肩を落とし、あてもなくブラブラと歩く、次世代を担う若者の姿がある。これでは、行く手に「認知症 (dementia)」が待ち受けるだけだ。

 2025年になると、認知症患者が UKだけで、1,000,000人に達すると予想されている。「自分を見失った」その患者を一体、だれが面倒をみるというのだろう。

 

 少々、前置きが長くなった。

 要は、ただブラブラと歩いているだけでは、運動にならないのだ。キビキビ歩く(brisk walking)、あるいは少し息切れがする運動を1日約 30分間続けると、ホルモンの分泌が促されて脳神経細胞が活性化される。つまり、脳が若返る。

 

 運動量は多いほど、「dose effect (ドーズ効果)」となって脳の若返りに跳ね返る。ただし、せっかく、脳が若返っても、1日 8時間以上座っていると、努力が無駄になる。

 また、イスに座っている時間が長くなればなるほど、それに比例して、脳の老化は早く進行する。

 

 だから、20分おきに立ち上がって、身体を動かすように努めること。Animation Health GIF by Anchor Point - Find & Share on GIPHY

2.Be a social butterfly:飛び歩け

 人類はひとりでは生きて行けない動物だ。150万年以上にわたって、人類は仲間と一緒に群れをなし、互いに「social interaction (社会的相互作用)」を及ぼし合って生きて来た。

 だから、「loneliness (孤独)」は、健康にとって毒。それは、もう、「タバコを1日15本吸う」あるいは「ウオッカをボトル1本飲み干した」ときと同じくらい身体に悪い。人は、長期間、孤独な状態に置かれると、死亡率が 50%も高くなる。

 さらに、12年の歳月を掛けた ある研究によると、「loneliness (孤独)」は、脳の老化スピードを20%も跳ね上げる。

group hug friends GIF

3.Have a healthy sex life:生殖は脳の若返りのカギ

 「源氏物語」の光源氏、あるいはドイツの文豪ゲーテ (Goethe)のように、常に誰かに恋をし、その「愛」に包まれていると

 

・memory:記憶力

・verbal fluency:言語流暢性

・numeracy skills:計算能力

 

が向上し、若返り効果が顕著に現われる。

4.Eat well:脳が若返る食品を食べよう

 脳の健康 (若返り)に効果のある要素は、次の 5点。

 

・Vitamin B12:魚介類、海苔(のり)

・Vitamin D:魚類、干し椎茸

・Magnesium:海苔、ナッツ類。バナナ

・Zinc:牡蠣(カキ)、牛肉、ナッツ類

・Omega 3:クルミ、亜麻仁、ニシン、サバ、ほうれん草

 

 さらに、たくさんの野菜と「wholefood(自然食品)」を摂取すること。とくにお勧めは

・Spinach:ほうれん草

・Flaxseed:亜麻仁(アマニ)

 

 朝食の「porridge (ポリッジ)」に、「flaxseed (アマニ油)」を数滴垂らすと、頭が冴えて、テキパキと動けるようになる (crack on)とか。

 

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 もちろん、どんなに、脳の健康に良いからと言って、むちゃ食いは禁物。「沖縄(Okinawa)」は、その辺に100歳以上の人がいくらでもいる土地柄で有名。そこでは、「hara hach bu (腹八分)」のしきたりが、しっかりと守られていると言う。

 

 最後に、脳の老化防止、若返りを望む人にとって、もっとも重要なことがある。

それは「Be consistent.(続けること)」。一日だけあるいは三日坊主では、なんの効果も期待できない。毎日、続けることだ。

 

おわりに:「rejenevation (若返り)」は、決して夢物語ではない。しかし、それには努力が必要だ。これに反して、努力なしでも達成できることがある。それが老化 (aging)」。あなたは、どちらを選びますか。

                   (写真、動画は添付のRTE Newsから引用)
www.rte.ie