命のともし火「テロメア」を縮める!:最悪な9つの行動パターン (RTE-News, July 31, 2022)
染色体 (chromosomes)の末端部をカバーする「telomeres (テロメア)」は、生命の ともし火のようなもの。細胞分裂を繰り返すごとに、すなわち加齢とともに、その長さが短くなって、やがて寿命を迎える。
ところが最近の研究によると、この生命のともし火は、生活スタイルの良し悪しによって、早く燃え尽きたり、ゆっくりと燃焼することがわかってきた。
チョロチョロと燃えるテロメアを吹き消してしまう最悪の要因は、次の 9つ。
1.Drinking too much:お酒の飲みすぎ
Oxford大学の Dr Anya Topiwalaの研究チームは、約25万人の医療データを分析した結果、お酒を飲みすぎると (17 units/週以上)、テロメアをむだに消耗し、
・Alzheimer's:アルツハイマー病
・cancer:ガン
・heart disease:心臓疾患
の発症リスクを高めて、寿命が早まることを明らかにした(2022年)。
さらに、Dr Topiwalaは続けて、健康で寿命の長い人生を願うなら、
・お酒の量を減らし、
・運動時間を増やし
・タバコはやめること。
2.The Sun:太陽光線
L’Oréal Research & Innovation (ロレアル リサーチ&イノベーション)の Dr Frederic Flamentらの研究 (2013年発表)によると、顔のシミ・シワなどの老化現象の 80%は、紫外線が原因。
3.Sitting down a lot:座りすぎ
現代人はイスに座っている時間が長すぎて、古代人に比べて、はるかに歩く機会が少なくなった。ところが、加齢にともなって、筋肉はどんどん減少する。たとえば、35歳あたりを過ぎる頃から、毎年約 1%の筋肉がなくなるという。その結果、
・osteoporosis:骨粗しょう症
・frailty:虚弱体質
・hip fractures:(転倒による)大腿骨骨折
のリスクが高まる。この筋肉量の低下を防ぐためには、
・一日4,000- 6,000歩を歩く
・(つとめて)階段を上る
・定期的な運動 (水泳、ヨガ、スポーツなど)
が有効。なお、ちょっと、机を離れるだけの ささいな運動でも、脚・腰の筋肉の強化に役立つ。
4.Smoking:タバコ
筆者の記憶によると、タバコを手から離せない人の顔は、男女に関わらず、生気がなく、みな黒ずんでいたように思う。
喫煙には、皮膚をつややかに保つコラーゲンの生成を妨げる働きがある。このため、タバコを吸うと、顔に「sag and wrinkle (たるみやシワ)」ができてしまうのだ。
なお、The Centers for Disease Controle and Prevention (US疾病対策予防センター)の研究 (2009年)によると、加齢に関わる慢性疾患の約80%は
・never smoking:禁煙
・having a body mass index lower than 30:体格指数30以下を保つ
・doing 3.5 hours a week or more of physical activity:週に3.5時間以上の運動
・sticking to a healthy diet:健康的な食生活
の 4つを堅持することによって防止可能。
5.A bad diet:寿命を縮める食べ物
口にすると、テロメアを縮めるものと言えば
・red and processed meat:赤肉と加工肉 (ハム・ソーセージ)
・sugary drinks:糖分の多いドリンク
これに対して、寿命が延びる食品としては
・野菜、マメ類、全粒粉、フルーツ(植物繊維、ビタミンC, Eが豊富)
・魚、アボガド、ナッツ類
とくに、食物繊維は
・血糖値、コレステロールの低下
・健康的な腸内細菌叢の維持
に役立つ。
6.Being too stresssed:強いストレス
ストレスで打ちのめされて、くよくよしていたらテロメアも寿命も縮まる。そのストレスの発散に効果的なのは
・旅行
・リラクゼーション療法
・運動
それでも、不安症、うつ病、PTSDなどに悩まされるなら、一度、専門医に相談すること。
8.Skipping vitamins:ビタミン不足
ビタミンDは老化防止に欠かせない栄養素。ビタミンD不足はテロメアを縮めるだけだ。日光量が少ないUKの冬季期間ではサプリメントが有効となる。
なお、Molise大学の Dr Sawan Aliらの研究グループは、オメガ 3脂肪酸を摂取すると、テロメアが長くなると発表している (2022年)。
9.Lack of sleep:睡眠不足
睡眠不足もまたテロメアを短くする要因だ。一日 7- 9時間の睡眠が必要。なお、夜間、十分な睡眠をとるためには、寝室をできるだけ暗く、静かで涼しい環境にするとともに
・昼食後にカフェインをとらない
・就寝1,2時間前には、スマオ・TVなどのスクリーン、運動は避けることだ。
おわりに:残念なことに、原文のリポートでは項目 7が欠けている。もう一つの最悪犯は、どんな顔をしていたのだろう。
(写真は添付のRTE Newsから引用)