大雨でジャガイモ畑は水浸し:収穫量 激減のIreland! (RTE-News, Nov 10, 2023)
秋が深まり、日の落ちるのが早くなると、作物は収穫の時期を迎える。しかし豆、小麦、稲を刈り取るコンバインを動かすには、お天気の良い日に限る。
さて、今年の Irelandの夏は異常だった。夏の間、来る日も来る日も雨が降ってジャガイモ畑は水浸し (wateregogged)になった。
この春先に土地を耕して畝 (drills)をつくり、種(たね)イモを植え付けたジャガイモ畑は、畝(うね)と畝の間に雨水が流れ (flows in rivulets)をなすほどビシャビシャになった。畑に足を踏み入れると、長ぐつが人差し指ほどもぬかるんでしまう。
ジャガイモを掘り出してみると、ほとんどが腐っていて、悪臭を放っている。これでは、売り物どころか、家畜の餌(えさ)にもならない。「捨てるしかならない (a write off)」と、Mr Sean Ryanは嘆(なげ)く。
例年であれば、どこのジャガイモ畑も、とっくに収穫を終えているこの時期に、今年は、ジャガイモの収穫は、まだ半分も済んでいない。
その理由は土壌の状態にある。こんなビチャビチャなジャガイモ畑に機械を入れたら、すぐに、泥にはまって動けなくなるからだ。
Irelandの農業技術開発・指導機関「Teagasc」のジャガイモ栽培のスペシャリスト Mr Shay Phelanによると、「この地に住んで20年になるが、こんなにジャガイモが収穫できないで、畑に残っている年ははじめて」と語る。この段階で、農家に言えることは「掘れるものがあったら、掘り出すこと」。
なお、1ヘクタールのジャガイモの栽培に必要なコストは €10,500 (約171万円)。
・seed cost:種イモ費用
・planting cost:植え付け費用
・spraying cost:農薬散布費用
・harvesting:収穫作業代
を含めた経費だ。
Irish Farmers’ Association (アイルランド農業者協会IFA)によると、これ以上の被害が発生すると、農家はとても「financial hit (経済的な打撃)」を克服できなくなると言う。
いつもなら、流通業界の倉庫がジャガイモでいっぱいになっているはずが、今年は、どの倉庫もジャガイモが品薄だ。だから、年があけるころには、極端なジャガイモ不足に陥るかもしれないと見られている。
おわりに:お米が歴史、文化、経済のみならず、人間が生き抜くためにどんなに大切なものかは、それを主食とする国で生まれて育った人でなければ、なかなかわからないものだ。同じようなことが、ジャガイモにも言えるだろう。Irishにとって、ジャガイモがどんなに大切で、生活に根付いたものであるかについては、Irelandに住んでみないと、本当に理解できないに違いない。けれども、風が強い上に寒く、小麦の栽培には適さない Irelandの地で、必死になって先祖代々ジャイモを植え付けてきた農家の苦労と、ジャガイモを大事にする国民の気持ちは痛いほどわかるような気がする。
(写真は添付のRTE-Newsから引用)