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健康に欠かせないフルーツ・野菜:Irelandだって生産が危ない! (RTE-News, Oct 11, 2023)

Research from the Environmental Protection Agency showed that fruit and vegetables are the most common types of food waste

 オレンジにリンゴ、ニンジン、トマト、ネギ、レタス、キャベツ、ホウレンソウ。どれもこれも健康を維持する上で欠かせないフルーツ・野菜だ。しかし、Irelandでは、その生産と消費のあり方が問われている。

 

 これらの食品は、どの国でも、あり余るほど多く生産されているわけではないが、スーパーでは「客の呼び込み (on promotion)」をねらってか、ときに格安価格で販売される。そのせいもあって、人々の「もったいない気分」が薄れて、「food waste (食品廃棄)」は増える一方だ。

 

1.Food waste:食品廃棄

 

 Cork  University Buisness Schoolの Thia Hennessy教授によると、クリスマスが近づくと、スーパーの売り場には 1袋 29c (¥46)のニンジンが並ぶという。

 こんな状態だから、「food waste (食品廃棄)」に関して Irelandは EU圏内で第5位にランクされ、その量は EU平均値の1.15倍に達する。

 

 なお、USの「The Environmental Protection Agency (環境保護EPA)」の調査によると、食品廃棄物の大半は「fluit and vegetables (フルーツ・野菜)」で、しかも、全食品のおよそ 1/3が生産・消費段階で捨てられている。

 

 また、食品を生産するためには、どうしても「greehouse gas emittions (温室効果ガスの排出)」が避けられないが、食品廃棄をゼロにすることができるなら、温室効果ガスの排出量は 8− 10%低下すると考えられている。

 

2.Irish horticultural sector:Irelandの園芸セクターの現状

 

 「UniversalCollege Dublin」の Dolorres O' Riordan教授が Ireland議会の「Oireachtas Agricultural Committee (オアラクタス農業委員会)」に語ったところによると、Irelandの園芸セクター(農産物生産・販売業界)は、年間 €500million (約790億円)の売上を挙げているが、現在、多くの問題を抱えている。その代表的なものは次の 3点。

 

・input price inflation:物価上昇

・power dominance of buyers:バイヤー(スーパー)の権力支配

・impact of climate change:気候変動の影響

 

 とくに、気候変動の影響に関しては深刻だ。この春は天候が悪くて種まきが遅れ、そのせいで生育期間が短縮された。加えて、6月に干ばつ、7月には大雨に見舞われた。この結果、穀物の品質はガタ落ちとなり、農家の収益 (margins)も農業の魅力(attaciveness)も低下した。

 

 なお、「 Bord Bia Director of Horticulture」の Mr Mike Nearyによると、この数年でIrelandの園芸セクターに携わる生産者が

 

・ポテト生産者:1,400→300

・野菜生産者:1,400→400 

 

と大幅に減少し、Leek (ネギ)に至っては、栽培している農家がたった 1件のみだ。

 

 それでも、Irelandで園芸作物の生産に携わる人口は約7,000人で、その「downstream business (ダウンストリーム事業)」に関わる雇用者は11,000人以上。

 

3.More growers and more consumption:もっと生産者を、もっと消費を

 

 さて、Irelandが国外から輸入する「fruit and vegetables」は、金額にして年間 €850m相当分。もちろん、その中には、Irelandで栽培できないバナナやオレンジも含まれるが、努力次第で、自国で生産量を伸ばすことができる農産物 (crops)、ポテト、リンゴなども含まれている。つまりは、他国に頼っているのだ。

 

 とくに、Irelandはリンゴの栽培に適しているのにもかかわらず、その生産量は需要の3-4%を占めるだけで、毎年約65,000トンのリンゴを輸入している状況だ。

 

  なお、当局は「fruit and vegetables」の摂取量の目安として、400g/dayを推奨しているが、現実の摂取量は、これよりもはるかに低いレベルだ。このため「Bord Bio」は、新鮮で品質の高い「フルーツ・野菜」の消費をもっと高めるようと、現在

 

・yonger demographics:若ものの人口統計

・millennial cohort:ミレニアル・コホート(青春期の健康・発達調査)

 

に取り組んでいるという。

 

おわりに:それにしても、近ごろの食品の値上がりは異常だ。便乗値上げもあると聞く。庶民にとって、それは、ほとほと困る。泣き寝入りを余儀なくされているのは、消費者あるいは農家だろうか。これまで幾度となく流通改革が叫ばれては来たものの、弱い立場の陣営の懐(ふところ)具合は一向に改善しない。

 

   (写真は添付のRTE-Newsから引用)

www.rte.ie