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神秘の力がやどるチョコレート:苦味、甘み、歴史もデリケート! (RTE-News, June 29, 2023)

To mark World Chocolate Day, a world chocolate master spills the (cocoa) beans on where to stash your favourite squares. By Sam Wylie-Harris.

 チョコレートは、メキシコのアステカ王国を滅ぼしたスペインが、16世紀末期にヨーロッパに持ち込んだ「神秘の苦い飲み物( bitter drinks)」だった。それに砂糖を入れて固めたお菓子に仕立てたのは、抜け目のないヨーロッパの商人だった。

 その後、チョコの製造技術は向上したものの、魅力的な風味と神秘な力に満ちたカカオチョコは、まるでガラス細工のように繊細であリ続ける。

 

 古いことわざ (adage)に、こんなのがあるそうだ。『チョコは、(すぐに食べるように)カップボードに入れておく?、それとも(後で食べるように)冷蔵庫にしまっておく?』

 ところが、チョコをカップボードに入れておくと、夏の暑さで、ベタベタになってしまう。そうかと言って、冷蔵庫やフリーザーにしまい込んでしまうと、いざ、チョコを食べようとしても、硬くて歯が立たない。

 

 そこで、RTEは、チョコの専門家 Mr Elias Läderachにチョコの保管のコツを尋ねた。Mr Läderachはスイスの老舗チョコ「Läderach (レダラッハ)」の ショコラティエで、2018年の「World Chocolate Master」に輝いている。

1.Temperature:チョコの保管温度

 熱波の続く真夏に、チョコをカップボードに入れておくと、ベトベトになってしまう。チョコの保管に理想的な場所は、直射日光の当たらない、乾燥していて温度が16-  18℃のところ。だから、「wine fridge (ワインセラー)」が自宅にあったら、それがベストだ。ただし、チョコの味を楽しむときは、一旦、常温(20- 23℃)に戻してから召し上がること。

 

2.Flavour:チョコの風味

 冷蔵庫にしまい込んで冷やしたチョコを、そのまま噛じると「one-note and bland (一本調子で面白みのない)」味がする。世界中のチョコメーカーが鎬(しのぎ)を削って工夫を重ねた せっかくの風味が台無しで、どのチョコも同じ味になってしまう。ただし、好みのチョコの冷たさと風味との関係は自分で確かめるしかない。

 一方で、チョコを温度の高い「カップボード」などで保管すると、風味は落ちないが、チョコの劣化が早まる。

 

3.Texture:チョコの食感

 チョコの食感も温度によって変わる。温度が高いと、チョコは柔らかくなってベタつき、チョコに含まれる成分が「ごちゃまぜになって (the complexities all merge together)」しまう。

 そうかと言って、チョコが冷たすぎると、硬くて歯が立たず、割ることさえできなくなる。だから、保管温度は16- 18℃が完璧なのだ。口の中に含んだとき、ひとりでに溶けるくらいがちょうど良い。

4.Visual effect:チョコの変色

 チョコの色が温度によって大きく変わることはないが、長期間、日の光にさらすとわずかに色落ち (slight discolouration)する。これはチョコの表面に「bloom (ブルーム)」と呼ばれる白い粉が現われるためだ。

 逆に、冷蔵庫に保管しておいたチョコを外に取り出すと、チョコの表面が「結露(condensation)」するため、その水分がチョコの砂糖を引き出して、灰色の冴えない斑点「sugar bloom (シュガーブルーム)」をつくり出してしまう。

 さらに「fat crystals (ココアバターの結晶)」をつくると、チョコの表面に灰色の縞模様ができて、チョコの色がすっかりくすんでしまう。

 

おわりに:なんと言っても、チョコ (chocolate)は、砂糖を抑えたブラックチョコが一番。しかし、チョコの風味の良し悪しは人によって違うもの。自分にもっとも向いているチョコはどれか。それを探し求めるのも、また、格別なチョコの楽しみの一つだ。 

 

 なお、チョコレートの「光と影」の歴史、宗教・文化との関わりに興味のある人には、次の一冊をすすめたい。

武田尚子:チョコレートの歴史 (中公新書2088)、中央公論新社、2010

              

                 (写真は添付のRTE-Newsから引用) 

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