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家中にモノがあふれて、散らかりっぱなし:これは性格が原因? (RTE-News, Jun 7, 2022)

Lisa Salmon talks to psychotherapist and home organisation expert Helen Sanderson, whose new book tackles the emotional aspects of hoarding clutter.

 戦後、10年ほどは、着るものはおろか食べものさえ、ままならなかったが、今や、国民のほとんどにとって、ほしいもののたいていは手に入る贅沢三昧な時代になった。

 それでも、人々は新商品の購入に走る。だから、暮れの大掃除などで部屋を定期的に片づけないと、やがて、家中に衣類や運動・遊戯具などであふれ、居間も乱雑な空間と化してしまう。

 

 ではなぜ、人間は、こうも「散らかりっぱなしの状態 (clutter)」に陥ってしまうのだろう。心理療法士でインテリア・デザイナーでもあり、「The Secret Life of Clutter」を出版した Ms Helen Sandersonによると、

・モノにまつわる思い出に執着するときもあり、

・しまい込んでしまうべきか、そのうち使用するかも知れないと迷い込んだり、

・片づけの際に、急に他のことが気になりだしたり、

・日常の忙しさにかまけて、結局

 

・I’ll deal with that later. (あとで片づけよう)

 

となってしまうからだという。

 

 そこで、Ms Sandersonは、部屋の片づけのコツを以下に紹介する。

 

1.A cluttered home is like an overgrown garden:取り散らかした部屋は草茫々の庭のごとし

 散らかりっぱなしを改善するためには、それを許容する心の雑草取り (weeding)が先決だ。その後、きれいになった庭に花を植える (planting)ように、適切な場所に適切なものを配置する。それを終えたら、そのきれいで清潔な部屋を維持 (maintaining)する心がけが大切だ。

 

2.Create a clear vision:どのようにしたいかをはっきりさせる

 どんな部屋に住みたいのか、イメージする。雑誌やウェブサイトを参考にしてイメージを紙の上に書いてみると良い。友だちを家に招きたくなるような快適な空間が理想のはず。

 

3.Understand the reality:現状把握

 次に、家中のカップボード、引出し、収納箱が、今、どのような状態なのかを確認しよう。こうありたいと願うイメージと現実がかけ離れていても、まずは、現実を理解しないと、片付け作業の行動に移れない。

 

4.Break decluttering into manageable stages:片づけは小分け作業で

 家中に散らかったものを一度に片づけるのは至難の技だ。それだからこそ、これまで、なかなか手がつけられなかったとも言える。そこで、片づけは、少しずつ実行することを勧める。引出しは一つずつ、カップボードも一つずつ片づけて、部屋から部屋へと作業を進めることが肝心だ。cleaning

5.Identify obstacles and how to overcome them:片づけができない理由を崩せ

 あなたが部屋の片づけに踏み切れない理由は、おそらく

 

・グズグズと、ものごとを先延ばしにする性格 (procrastinator)

・すぐに他のことに気が向いてしまう性格

・感情的になって、一つのことに集中できない性格

・散らかった状態を目にすると、頭の中が真っ白 (brain-freeze)になって、正しい判断ができなくなる性格

 

のいずれかにある。つまりは「psycological issue (心に問題がある)」。思い当たるところがある人は、友だちに相談したり、専門家の助言を仰ぐのも一考に値することだ。

 

6.Set aside time and remove distactions:十分な時間をとって、作業に専念

 きれい好きの人だったら、とっくに部屋は片づいていたはずだ。散らかしっぱなしの人には、それなりのワケがある。片づけを始めた瞬間に、他のことが気になりだして、作業を中断した経験を持つ人は少なくないはずだ。

 そこで、片づけ作業中には、スマホの電源を切り、ペットの散歩もおあづけ、その日の予定は全てキャンセルにして、片づけ作業に専念すること。

 

7.Put some clutter in front of you:片づけようと思うものを目の前に置く

 引出しに保管していた本・雑誌、書類を全て中から取り出して、目の前に並べる。このとき、だれかに手伝ってもらうとベスト。一つずつに目を通し、

 

・Is this staying or going. (これはとっておくのか、それとも処分するのか)

 

を判断しよう。

8.Keep, Recycle, Bin, Donate, Action:モノの行き先を考える

 直感(intuition)を信頼し、今までどうりにとっておくものと、リサイクル、中古販売、社会奉仕活動、寄贈に回すものとに選り分ける。

 ただし、決めかねるときは「Don't Know pile (判断しかねるモノ)」として残し、次回の整理・片づけの対象品目とする。

 

9.Complete it:最後までやり遂げよ

 リサイクルに回すもの、寄贈するもの、ゴミ箱行きの分類が終了したなら、すぐにそれらを車で運び出し、最終的な片付け作業を実行すること。こうすることで、悔いが残らず、せっかくの片づけ作業を台無しにしないで済む。片づけは「完璧に実施する」ことが重要なカギだ。

 

10.Plant and maintain:新しい空間に再配置し、これを維持

 片づいた空間には、大切なものだけを再配置すれば良い。そして、その後もその状態をずっと維持することだ。きっと新たな人生の喜びに出会えるはず。

 

 

おわりに: 取り散らかしたもの (clutter)を片付ける (decluttering)ことは、決して、取り散らかしたものを全て捨ててしまうことではない。モノは生きたあかしでもある。「過去が染み付いているものを全て捨て去って、新たな人生を」と主張する人もいるが、筆者は、その考えに同調しない。過去を大事にしないで、どうして未来を大事にできるだろう。「現在」、「未来」は、すぐに「過去」になるというのに。

 Ms Sandersonによれば、チリ一つない (pristine)、真っ白い壁に囲まれた修道士の住むような部屋 (ascentic white space)にする必要などないのだ。要するに片づけ作業は、心の再整理、身の回りのモノの再配置であり、バランス感覚が求められるという。スペースに余裕があれば、思い出の品、歴史を刻んだ品などは大事に保管するに越したことはない。

                  (写真は添付のRTE Newsから引用)

www.rte.ie