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宇宙から見えた:人類のエネルギーのムダ使い! (BBC-Science, October 29, 2020)

Paris at night (c) SPL

 海岸、潟・湖に面した小高い山に登ると、その頂上には、今でも古い石灯籠を目にすることがある。かつて漁師だった人に話を聞くと、昔は、夜になると、その石灯籠に灯りがともり、漁船を操る漁師は大いに助かったものだという。

 それほど、昔の夜は暗く、小さな集落などは、夜更けになると真っ暗闇に包まれた。

 

 それが、わずか100年足らずの間に、田舎の道でさえ、日没後には街灯が灯り、スーパー、コンビニ、パチンコ店は夜中まで営業を続ける。まさに「不夜城」があちらこちらにできた。

 こうして、夜の漆黒の闇は、ほとんど消えた。

 

 Dr Fabio Falchiらの国際研究チームが、2016年に「Science Advences」に発表した調査研究によると、世界の全人口の約80%が、夜の真っ暗闇がどういうものか知らない。US、ヨーロッパに住む人に限ると、約99%以上が、夜の真っ暗闇を経験したことがないという。

 

 そこで、「The German Research Centre for Geoscience (ドイツ国立地球科学研究センター)」の Dr Christpher Kybaらの研究チームは、USの Arizonaにある人口約55万人の都市「Tucson (ツーソン)」で、人工衛星を使った「夜間照明に関する大規模実験」を行なった。

 10日間の実験期間中、夜中の 1:30に一斉に、街中の街灯約40,000ヶの照明を落としてもらい、これによって夜の都市の灯りがどの程度変わるのかを調べた。

 Tucson artificial light from Space

 すると、街灯の灯りを落としても、夜の都市はギラギラと光を放っていた。その発生源は次のとおり。

 

・advertisements:ネオン広告

・floodlights:フラッドライト (投光照明)

・lit buildings:施設照明

・faced lightining:ファサード照明

・parking lots:駐車場

・sport stadia:スポーツ・スタジアム

 

 ほとんどの人が眠りについている間にも、誰の役にもたたない、煌々(こうこう)した灯りが宇宙の彼方に放たれていたのだ。

Shop facade in Berlin (c) C Kyba

 「The International Dark Sky Association (国際ダークスカイ協会)」によると、人工照明 (artificial light)の約35%がムダにただ夜空を明るくするだけに使われているという。そのコストは USだけで年間 30億ドル(約3,000億円)。

 

Night-time scene of UK and part of Western Europe (c) SPL なお、夜間照明が犯罪・事故防止にどれだけ役にたっているのかは定かでない。一方で、ギラギラの照明が渡り鳥、昆虫、野生動物の生態リズムを狂わせているのは確かだ。

 

おわりに:原子力発電所の夜間余剰電力は、本当に有効に使われていると言えるのだろうか。人類は、膨大な犠牲を払ってエネルギー生産に励んでいるが、その使い方を十分に知らないとは.......。その科学レベルも知れたものか。

   (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com