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効果的なケガの治療:フィブロブラスト(線維芽細胞)を起こせ! (BBC-Health, November 9, 2017)

https://ichef.bbci.co.uk/news/695/cpsprodpb/6A32/production/_98668172_gauze.jpg

 それは、まるで「100m sprinter(短距離走者)」のようだと言う。
 
"The sprinter down on the blocks, posed and ready to go, is always going to beat the guy going from a standing start."
[ スプリンターは、スターティング・ブロックに足を掛け、両手の位置を地面に決め、その瞬間を待つ。そして立ち上がるや、頭の中は、相手に勝つことだけ。]

「それ」とは、「fibroblasts (線維芽細胞)」と呼ばれる「skin cells (皮膚細胞)」のことだ。皮膚が火傷(やけど)や切り傷などを負うと、直ちにその修復作業に取り掛かる。その素早さは sprinter にたとえられるほとだ。
 ただし、この「fibroblasts (線維芽細胞)」も、「circadian rhythms (概日リズム)」すなわち「body clock(体内時計」によって、その活動がコントロールされている。日中、その機動性は高いが、夜になると、眠ってしまうのだ。

 イギリス「MRC Laboratory of Molecular Biology (MRC分子生物学研究所)]」の Dr John O'Neill らの研究チームが、火傷の患者118名について調べたところ、夜間に火傷を負った患者の回復期間は平均 28日。これに対して、日中に火傷を負った患者の治療期間は 27日と、その差は 11日間もあった。

 イギリスの NHS(国民保健サービス)が「ケガの治療 (treatment of wounds)」に要するコストは、毎年 £50 bn (約7,500億円)。そのコスト高の原因の一つは、有効な「wound closure (創口閉鎖)」の治療法が欠けているためとされる。
 したがって、夜間、傷口の治療措置が避けられない場合には、ステロイド系「cortisol (コルチゾール)」などの薬剤で体内時計をリセットさせ、「fibroblasts (線維芽細胞)」の機能を十分に引き出して治癒能力を高める方法も考えられるという。
 
 なお、研究の詳細は、医学雑誌「Science Translational Medicine」に発表された。

                   (写真は添付のBBC Newsから引用。)

www.bbc.com