クリィー (メスよ来い来い、こちらに来い!):ウズラクイナが鳴く自然 (RTE-News, Apr 15, 2023)
辺り一面が黄色の一色で染め上げられた「菜の花畑」、はたまた、遠くの山懐まで緑の海原のように広がった「麦畑」。風が吹くと、菜の花や麦は、まるで波のごとく揺れ動いていた。
と、突然、その茂みの中から「ヒバリ」が飛び出し、空に向かってグングン昇っては、ピーピーと騒がしく鳴いたものだった。
そんな光景は、かって、どんな田舎でもよく目にしたものだ。ところが、近頃は、ヒバリの声を聴くことなど、めっきり少なくなった。
Irelandでも、今から60- 70年前までは、茂みに隠れて「Krek krek (クリィー、クリィー)」と鳴く「Corncrake (ウズラクイナ)」のオスの鋭い声が、各地の草原・牧草地、小麦畑・野菜畑から聞こえていたという。この鳥の学術名は「Crax Crax」。鳴き声の「onomatopoeia 擬音語)」から名付けられたとされる。
オスの鳴き声は遠くまで届き、1.5km離れた場所でも聞き取ることができるほどとか。 もちろん、声を張り上げて鳴く目的は、縄張り宣言 (declaring territories)とメスへのアピール (attracting females)にある。
なお、地元の農家の人でさえ、「声はすれども姿は見えず」の鳥で、めったに近づいて観察できない (highly unlikey)の種だ。
昨年の2022年、Ireland全土で確認されたオスの数は、わずか197羽だった。それでも、2018年に比べて30%の増となり、個体数は Ireland北西部を中心に徐々に回復しつつある。
それもこれも「Connemara National Park (コネマラ国立公園)」、野生生物サービス、「The Corncrake Life Project」などの団体保護活動をはじめ、120名を超す地元の農家の努力の成果だ。
Irelandの農家は「corncrake (ウズラクイナ)」の保護活動の一環として、繁殖を妨げないように、牧草地の刈り取り時期を遅らせるなど、環境の保護と農業(土地の利用)の両立を目指した事業に率先して参加しているという。
おわりに:どこの国でも農業 (agriculture)、農耕 (farming)が追いつめられている。農業と自然保護とは相反するものなのか。金目の、それも贅沢で裕福な一部の消費者の需要に応えるために農作物 (シャインマスカットがその良い例) をつくるのであれば、ふんだんにエネルギーを消費し、巨額な設備投資と大規模な土地利用が欠かせない。「生きるために必要なものをつくる」から、「他国ではつくれないものをつくる」農業、あるいは「贅沢な好みに迎合した農作物の生産」へと完全に変わってしまった。なお、有識者、学生・若者の「未来の農業」に対する関心は驚くほど低い
(写真は添付のRTE Newsから引用)