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カニ・エビ加工場の廃棄物が:海洋汚染を防ぐbioplasticsに変身! (RTE-News, Nov 26, 2020)

"Although we currently treat this material as a waste product, it is, in fact, a rich source of a range of useful substances". Photo: Getty Images

 スーパーの店頭に並ぶリンゴ、ナシ、ミカン、それにキャベツ・ニンジンなどの野菜は、収穫されたものの中から、形の整ったものだけが選ばれて販売されている農産物だ。 

   たとえば、リンゴ・ナシは、少々傷んだり、形がいびつなもの、小さすぎるものなどは、商品として出荷されず、果樹園の土の中に埋められる。商品価格を維持し、消費者の好みに合ったフルーツ・野菜を提供するためとは言え、ずいぶんとムダなことをしているのだ。

 

 同じようなことが、水産物の出荷でも起こっている。とくに、ヨーロッパで水揚げされるカニ、エビなどの甲殻類に関しては、むき身だけが商品となるため、加工過程で発生するカニ・エビの殻、尾、それに規格外品は廃棄物 (waste products)として処理される。その量は年間150万トン。コンテナ船が満載できる貨物重量の 6艘分に匹敵する値になる。なお、廃棄物のほとんどは、埋め立て、焼却、海洋投棄として処分される。

 

 しかし、エビ・カニなどの殻には「chitin (キチン)」が豊富に含まれている。これは、セルロースと同じ高分子化合物。剛性があり、熱にも酸にも強く、難溶性を示す物質だ。ただし、350℃では分解する。また、酢やレモンジュースのような酸性液にも溶解し、成形が可能になる。溶けたキチンが、乾燥、硬化すると、その素材は硬く、耐久性に優れた「biodegradable product (生分解性プラスチック)」すなわち「バイオプラスチック (bioplastic)」に生まれ変わる。

 現在、世界中の河川・海洋がマイクロプラスチックで汚染され、多くの海洋生物が生存の危機に瀕している中で、従来のプラスチックから、この「enviromentally friendly materials (環境に優しい素材)」に変えることは、人類にとって「喫緊(きっきん)の大事 (imperative issue)」だ。

 

おわりに:「産業、工業の発展」。これは政治家、経済界がよく口にする言葉だ。しかし、それが自然破壊、環境汚染、健康被害をもたらしたことも事実だ。人類には発想の転換が迫られている。

     (写真は添付のRTE Newsから引用)

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