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記憶をなくすアルツハイマー病:なぜ、神経細胞が死滅するのか! (BBC-News, Sep 25, 2023)

Doctor looks at brain scans

 湖面を覆うほどアオコが大量発生すると、生態系のバランスが崩れて、水中の水草や魚が死滅し、湖は悪臭を放つようになる。このような状態に陥っては、少しぐらいアオコをすくい取ったところで、どうにもなるものではない。

 アオコ対策には、アオコの特徴と発生原因をつきとめて、これを徹底的に駆除するとともに、それが広がらないようにしなければならない。

 

 さて、難病とされ、国内の患者数が500万から600万人と推定される Alzheimer's (アルツハイマー病)」にも、同じことが言える。

 この病気は、脳内に「Amyloid β and Phosphorylated Tau (アミロイドβとリン酸化タウ)」と呼ばれる「abnormal proteins (異常タンパク質)」を蓄積して、脳の神経細胞(neurons)が死滅する病気だ。進行すると、重度の記憶障害を招く。

 

 しかし、脳に異常タンパク質が蓄積するせいで、脳みそがスカスカになることは分かっていても、なぜ、脳の神経細胞が死んでしまうのかについては不明だった。その突破口を開いたのは Bart De Strooper教授が主導する

 

・The UK’s Dementia Research Institute at University College London (英国認知症研究所)

・KU Leuven In Belgium (ベルギーのルーベン・カトリック大学)

 

の研究チームだ。(研究内容の詳細は科学雑誌「Science」に発表。)

 

 Strooper教授によると、脳内の神経細胞 (neurons)のすき間に「異常タンパク質(abnormal proteins)」が形成されると、「脳炎症 (brain inflammation)」を招いて、脳内のミクロな化学プロセスに変化が生じる。これが「necroptosis (ネクロプトーシス)」と呼ばれる「a form of cellular suicide (神経細胞死の一形態)」。

 ところが、MEG3 (母性発現遺伝子)」をブロックすると、その神経細胞は死を免れることが分かったという。

 

 これで、どのようにすれば、Alzherimer'sの進行を遅らせたり、停止させることができるのかが分かり、これまでとは全く違う新たな治療薬の開発が期待できる。

 

 ただし、「Alzheimer's Research UK (英国アルツハイマー病研究所)」の Dr Susan Kohlhaasによると、確かに Strooper教授らの発見は「exciting (エキサイティング)」ではある。しかし、それは、まだまだ研究の初期段階に過ぎない。

 

おわりに:この 9月25日に厚労省アルツハイマー病の新薬として認定した「レカネマブ」は、あくまで、脳内のアミロイドβを取り除くものだ。根本的な治療に結びつくものではない。それに、この新薬の投与対象は、発症初期のアルツハイマー病患者に限られている。臨床試験では、被験者の27%に、進行を遅らせる効果が認められたとされる。

 医学の研究の実態を一言でいえば「のろい」。また、原因も不明、確かな治療法も不明でありながら、現場の医者が(十分に説明することなく)試験的に薬剤を投与しては、病気で苦しむ患者に、なんと過度の身体的、経済的な負担を与えていることだろう。

   (写真は添付のBBC-Newsから引用)

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