ヘルペスウイルス:これがアルツハイマー病の元凶だった! (BBC-Future, October 23, 2018)
「自分が誰であるのか」さえ分からなくなる恐ろしい病気。それが「アルツハイマー病 (Alzheimer's disease)」だ。その患者数は世界中で3,000万人を越えるとされ、これまで有効な治療法もなく、あるのは、その症状を緩和する薬だけだった。
ところが Manchester大学の Ruth Itzhaki教授らの研究によって、アルツハイマー病の発症メカニズムが明らかにされ、効果的な治療法が確立されようとしている。近い将来、この病気に対するワクチンの開発も夢ではなくなった。
結論から言って、アルツハイマー病の元凶は「herpes simplex virus type1 (単純ヘルペスウイルス1型HSV1) 」だった。
多くの人は、子どものとき、ヘルペスウイルスに感染して「cold sores (口唇ヘルペス)」を発症するが、このウイルスは症状が治まっても「peripheral nervous system (末梢神経系)」に潜伏し、人間の体力が弱まるのをじっと待っている。
やがて、人は年をとり、免疫システムが弱体化する。さらに、「microbial infection (細菌感染」によって脳が炎症を受けたり、強いストレスの環境に曝されると、潜伏していた HSV1ウイルスが目覚めて、そのDNA複製を始める。これがウイルスの「reactivation (再活性化)」だ。
これによって、感染細胞がダメージを受けるとともに、「viral-induced inflammation (ウイルス性炎症)」を引き起こす。ヘルペスウイルスはしつこい。何度も何度も、細胞を攻撃するという。
結果的に、正常な脳細胞が破壊され、変わりに「beta-amyloid and abnormal tau proteins (βアミドタンパク質や異常なτタンパク質))」などの「toxic products (毒性産物)」が脳内にどんどん蓄積されて行く。
したがって、アルツハイマー病を根治するには、HSV1ウイルスの DNA複製を阻害する抗ヘルペス薬「acyclovir (アシクロビル)」が欠かせないという。
なお、遺伝子 APOE4を有する人が HSV1に感染すると、普通の人に比べてアルツハイマー病の発症リスクは 12倍も高くなるとのこと。
(写真は添付のBBC Newsから引用)