歯周病の原因菌「P. gingivalis (ジンジバリス)」:脳神経細胞を冒す! (BBC-Health, January 24, 2019)
歯磨きを、いい加減に済ませていると、口の中は「gum disease (歯周病)」の原因菌「Porphyromonas gingivalis (ポルフィロモナス・ジンジヴァリス)」がウジャウジャはびこる。この口腔変性嫌気性細菌。歯と歯肉との間のプラーク(歯垢)に取り憑いて、歯をガタガタにする嫌な「悪(ワル)」。
ところが、この細菌「P. gingivalis」、実は、歯周病だけに留まらず、人間に対して、とんでもない病気を引き起こす「悪党」だった。
Dr Stephen Dominyらの国際共同研究チームが、アルツハイマー病患者の「brain tissue脳組織)」、「spinal fluid (髄液)」などを分析したところ、脳神経組織内に、大量の歯周病の原因菌「P. gingivalis」が棲み着いていることを発見した。(研究内容の詳細は科学雑誌「Science Advances」に発表。)
歯周病の細菌が、口の中から脳に侵入し、そこで毒性タンパク質「gingipain (ジンジパイン)」を分泌して、脳神経細胞を破壊していた。
また、この細菌は、「amyloid plaques (アミロイド・プラーク)」の主要構成物質「amyloid beta (アミロイドβ)」をドンドンつくって、「Alzheimer's (アルツハイマー病)」を悪化させていた。
一方、マウスの口の中を「P. gingivalis」に感染させると、やはり、その細菌が脳に侵入して、脳神経細胞を冒し、マウスは「認知症 (dementia)」の症状を示すようになったという。
アルツハイマー病は、「認知症 (dementia)」を招く典型的な脳疾患。現在のところ、有効な治療法は存在しない。「The Centers for Disease Control and Prevention (米国疾病(しっぺい)管理予防センター)」によると、USAのAlzheimer's患者数は約500万人。
なお、この Dr Dominyらの研究結果に対して、「Alzheimer's Research UK」は、『歯周病菌だけでアルツハイマー病が発症するとは考えにくい』としながらも、「oral health (口腔衛生)」の重要性については、否定しない。
虫歯や歯周病はきちんと治療し、歯磨きは入念に。口の中も常に清潔に保つこと。これが、だれにとっても健康の秘訣と言えそうだ。
謝辞:この一文をまとめるに当たって、以下の優れた「USA TODAY」の記事も参照した。記して謝意を表したい。
USA TODAY: January 25, 2019
・Gum infection linked to Alzheimer's disease, new study suggests
(写真は添付のBBC Newsから引用)