感染症に対する免疫力:「食事と生活スタイル」で大幅に変わる! (RTE-News, Jan 18, 2023)
中国武漢で発生した新型コロナウイルス (Covid-19)は、まるで宇宙からのインベーダー(space invaders)か、中国の秘密化学兵器 (secret chemical weapons)のように、次々に地球上のヒト属 (Homo)を襲っては、世界中の人々を震撼させた。
これまで、地球上の人口の約10% (10人に 1人)に当たる約 7億 7千万人を感染させ、約690万人の生命を奪った。また、世界経済がこうむったマイナスの影響は計り知れない。
今後、さらに懸念されることは、第2、第3の新型ウイルスあるいは変異したウイルスだ。おそらく、「手洗い、消毒、うがい、マスク着用にワクチン注射」だけで完全に防ぎきれないと考えられる。
それにしても、今のところは、悪意のある某国の化学兵器ではなさそうとあっては、打つ手がないわけではない。不測の事態に備えて、からだの免疫力を十分に高めるとともに、ウイルス感染対策を強化し、敵 (diseases)に対する守りを固めることだ。
以下は、Notingham Trend大学の Dr Samuel White、Philippe Wilson教授らの研究チームが医学雑誌「The Conversation」に発表した論文の要約版だ。
1.What is our immune system?:からだの免疫システムとは?
人間のからだは、次の2つの免疫システムで守られている。
・Innate Immunity:自然免疫
・Adaptive Immunity:獲得免疫
1-1 自然免疫
外部から体内に侵入を企てる「harmful microorganisms (有害微生物)」(細菌、ウイルスなど)に対して、第一の砦(とりで)として働くのは、全身を覆う「skin (皮膚)」と「secretions (分泌液 [粘膜] )」だ。分泌液とは
・mucus:粘液
・stomach acid:胃酸
・enzymes in saliva:唾液中の酵素
・sweat:汗
であり、これらを駆使して「foreign invadoers (外からの侵入者)」の防御に当たる。
1-2 獲得免疫
自然免疫を「城郭の外堀」にたとえるなら、獲得免疫は「内堀」だ。外堀の「第一関門 (first--line of defence)」を突破した敵の「pathogens (病原体)」に対して、その装備を確認し、これを迎え撃つ防御陣だ。
・spleen:脾(ひ)臓
・thymus:胸腺
・bone marrow:骨髄
・lymph nodes:リンパ球
が一丸となって敵を攻撃し、これを死滅させることが任務だ。
侵入した敵を特定すると、直ちに「antibodies (抗体)」をつくり出すとともに、味方の「immune cells (免疫細胞)」を増殖させて、敵に対する攻撃を強化する。
ただし、この優れた人間の免疫システムも、「diet and life style (食事と生活スタイル)」によって大きな影響を受ける。つまり、病気に罹りやすいか、罹りにくいかは、どんなものを食べて、どんな生活を送っているかによって、だいぶ違ってくるというのだ。
2.We are what we eat:全ては、なにを食べているか次第
頑強な免疫システムをつくりあげ、手ごわい、目に見えない敵に対して凛(りん)として戦うためには、まずは栄養 (nutrents)をしっかり摂って、体力を付ける必要がある。
・Amino acid arginine (アミノ酸の一種アルギニン)
これは免疫細胞内の「nitric oxide (一酸化窒素)」の合成に不可欠な成分。
・Vitamine A & Zinc (ビタミンAと亜鉛Zn)
免疫細胞の迅速な増殖に欠かせない。
・Vitamine C (ビタミンC)
免疫システムをサポートして、免疫防御に貢献する役目がある。
・Vitamine E(ビタミンE)
免疫反応 (immune response)を強めて、「flu, Covid, common cold」などの感染症に対する防御力を固める。
・Mediterranean diets (地中海食)
これはビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富で、おなかの「anti-inflammatory (抗炎症性)」とからだの「immune function (免疫機能)」を高める効果がある。
なお、とくに注目すべき点は、「microbiome (腸内細菌叢)」で働く、次の3種の「probiotocs (善玉菌)」。
・Faecalibacterum Prausnizii:フィーカリパクテリウム・プラウスニッツィイ
・Lactiplantibacillius plantarumand:ラクティプランティバチルス プランタルマンド
・Pediococcus acidilactici:ペディオコッカス・アシディラクティシ
最後に挙げた乳酸菌「Pediococcus acidilactici」には、コロナ感染時に、鼻腔・肺のウイルスを激減させる効果があるとされる。
3.Living a healthy lifestyle:健全な生活スタイルを
からだの免疫システムは、その人の生活スタイルによって、ずいぶんと変わってくる。
3-1 Smoking:タバコ
喫煙は、からだの自然免疫、獲得免疫のいずれにもダメージを与えて、結果的に病原体 (pathogens)に対する過剰反応 (overreact)を起こしたり、免疫システムの防御力(immune defence)を弱体化させる。
3-2 Alcohol:アルコール
アルコールを摂取すると免疫力が低下し、細菌感染、ウイルス感染のいずれに対しても「susceptibility (罹病性)」が高まる。たとえ、アルコール摂取量が「適度(moderate)」の範囲であっても、免疫力が弱まる可能性があるという。
3-3 Sleep:睡眠
睡眠は免疫機能の維持に欠かせないファクター。睡眠不足は、からだの「炎症(inflammation)」を招き、免疫反応 (immune response)を悪化させ、感染リスクを高める他、感染症状を重くする。
とくに、睡眠時間がたったの 6時間に過ぎない思春期の若もの (adolescents)は、「cold, flu, and gstroenteritis (胃腸炎) 」に罹りやすい傾向にある。
3-4 Stress:ストレス
ストレスもまた免疫システムに大きなインパクトを与えるファクターだ。慢性的なストレス (chronic stress)はもちろんのこと、試験を控えたときに経験するような短期的なストレス (brief periods of stress)であっても、免疫機能を悪化させる。ストレスの緩和には「mindfulness meditation」が有効とされる。
3-5 Exercise:運動
少し息が弾むくらいの「moderate intensity physical ativity (中程度の運動)」は免疫反応を向上させる。ただし、運動の強度と運動の継続時間を間違えると、逆効果を招く。適度な休憩をとらずに、無理な運動を続けると、かえって、からだの免疫機能を損ねて、感染症に罹りやすくなる。ある調査によると、「moderate-to high-intensity physical activity (激しい運動)」を終えた、わずか90分後に感染症に罹患すると、報告されている。
3-6 Vaccination:ワクチン接種
なんと言っても、ウイルス性感染症 (flu, Corona)の予防には、ワクチン接種が一番だ。ただし、ワクチンの効果を高め、これをサポートするためには、外出先のマスク着用、手洗いが欠かせない。
おわりに:病原菌をはねのける「丈夫なからだ (robust body)」をつくるためには、(新鮮な野菜・フルーツ、魚介、ナッツ類を) よく食べて、よくからだを動かし、よく眠る。これに尽きる。そして、きれいな心を貫くことだ。
なお、「食と健康との関わり」に興味がある方には、次の一冊をすすめたい。
・Peter Brulkner: A Fat Lot of Good, Penguin Random House Australia Pty Ltd, 2018
(写真は添付のRTE Newsから引用)