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乗り物酔い:あの地獄の苦しみを避けるために知っておくべきこと! (RTE-News, Aug 21, 2023)

'We are more often ill during summer holiday journeys than during our normal comings and goings.' Photo: Getty Images

 飛行機が乱気流にもまれて上下に激しく揺れ動く、ボート・ヨットが沖合の波に翻弄される、あるいは、古いバスが排気ガスをばらまきながら街なかを停車、発進を繰り返す。こんなときは、吐き気が込み上げて来て、たまらなく不快な気分になる。

 

 この「乗り物酔い (motion sickness)」は、なぜ起きるのか。残念ながら、その発症メカニズムについては、十分に解明されていない。有力な説として、「poor perception of movement (平衡・運動感覚の混乱)」説が知られている。

 

 クルマの後部座席で本を読んだり、映画を観たり、ビデオ・ゲームやスマホをいじるなど、(クルマの動きとは無関係な)「視覚を刺激すること (visually stimulating activities)」に熱中していると、からだのバランスを保つ「perception of movement (平衡・運動感覚)」に混乱を生じて、気分が悪くなる、と説明される。

 

 さて、長時間、飛行機、フェリー、クルマなどの座席に、ただ座っているだけで、

・fatigue:疲れ

・drowsiness;眠け

・apathy;無気力

・lack of energy:脱力感

 

に襲われる。これらはすべて「symptomes of mild motion sickness (乗り物酔いの中程度の症状)」。

 とくに、夏のホリデー・シーズンは、乗り物酔いに罹りやすいシーズンでもある。

以下は、「Université de Technologie de Belfort-Montbéliard (ベルフォール・ モンベリアール工科大学」の Mr William Emondらの研究グループが科学雑誌「The Conversation」に発表した論文の要約版で、「地獄の苦しみ」をできるだけ避けるためのコツだ。

 

1.Long journeys - repetition of movements that make you queasy (長時間のドライブ ー 加速・減速、横揺れが続くと、吐き気が込み上げてくる)

 数多くの数学モデルの解析結果が示すように、ドライブ時間に比例して、クルマ酔いの確率が高くなる。ただし、気分が悪くなる「しきい値 (threshold)」は人によって異なり、クルマに乗って数分で気分が悪くなる人もいれば、数時間後あるいは徐々に気分が悪くなる人もいる。

 

 

2.Journey conditions: risks adding up (ドライブ事情:クルマ酔いに拍車を掛けるリスク要因)

2.1 Ventilation and cabin air systems (空調システム:エアコン) 

 

 夏になると、クルマの中が「a stifling heat (ムッとする暑さ)」になる。これがクルマ酔いに拍車を掛けるのだ。人間のからだは、熱中症にならないようにと、

 

・sweat:汗をかかせ

・breathing:呼吸を早める

 

これが熱中症の「primary symptomes (初期症状)。しかし、暑さがひどくなると、次のような「substantive symtoms (深刻な症状)」を示すようになる。

 

・dilation of the blood vessels:血管膨張

・sickness:ムカつき

・nausea:吐き気

・vomiting:嘔吐

 

こんな症状が現われそうになると、人は慌てて、エアコンのスイッチをいれる。ところが、これが、さらにクルマ酔いを悪化させるという。

 

2.2 Unpleasant smells (不快な臭い)

 

・traffic flumes:クルマの排気ガスの臭い

・cigarette smoke:タバコの煙の臭い

・fetid air:悪臭

・smell of leather:皮製品の臭い

 

なども、クルマ酔い原因として知られている。

 

 臭覚が特定の臭いを認識すると、「the area postrema (最後野、嘔吐中枢)」すなわち「chemoreceptor triggger zone (化学受容器引き金帯、CTZ)」が刺激されて、「over-production of salva (唾液の過剰分泌)」、「nausea (吐き気)」を催すのだ。このからだの機能は、本来、毒物を体内に取り込まないように作用する働きでもある。

Anna Cullen - Motion Sickness

3.Traffic: a physical and mental imposition (ドライブ:肉体的、精神的な辛抱)

 クルマ酔いの最大の原因は、そのスピードよりも、加速・減速が繰り返されることにある。とにかく、クルマを運転すると、速度制限あり、十字路、赤信号ありで、そのつど、ドライバーはブレーキ、アクセルを踏まざるを得ない。その上、交通渋滞に巻き込まれると、次のような心理的圧力が加わる。

 

・Delays to a journey:旅の遅れ

・Anxiousness about arriving at the arranged time:到着時間の心配

・Tiredness :疲れ

・Stress:ストレス

・Irritation:イライラ

 

これらがクルマ酔いの症状を悪化させる。こんなときは、「setbacks (行く手をはばむもの)」を、深刻に捉えないで、ゆとりをもってドライブすることだ。

 ただし、これは、「That's of course easier, said than done. (もちろん、言うは易し、行なうは難し)」だ。

 

4.Some tips to limit the damage:からだのダメージを小さくするコツ

4.1 For drivers:ドライバーのすること

・Take regular breaks:定期的に休憩タイムをとる

・Try cut down the amount of hard acceleration and braking you do:急発進、キューブレーキを避ける

・Avoid taking corners too sharply on winding roads:カーブを曲がるときはゆっくりと

 

4.2 For passengers:パッセンジャーのすること

・Sit as far forward to in the vehicle as possible:できるだけ前方の遠くに目をやる

・Avoid looking at screens and other visual contents:スマホ画面、雑誌・本類は見ない

・Shut your eyes or try to sleep:目を閉じるか、眠る

・Tilt your set back:座席のシートを後ろに傾ける

・Go for car games:歌をうたったり、好きなことをして気を紛らわす

・Pracebo:チューインガムをかじる、あるいはおまじないなど、クルマ酔いに効き目があるというものなら、なんでもやってみる

 

おわりに:乗り物酔いと言っても、クルマなら、とにかくどうにかなる。数十分だけ、クルマを停めれば、大抵のクルマ酔いは回復する。しかし、やっかいなのは、船舶 (フェリー)だ。船底の座席料金は安いが、海が荒れたら、とんでもない「船酔い」に苦しめられる。くれぐれもご用心。

      (写真は添付のRTE-Newsから引用)

www.rte.ie