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足を組んでイスに座ると:男をダメにし、首痛・腰痛の原因に! (RTE-News, Mar 29, 2023)

'It's probably much easier for women to sit cross-legged – particularly because men have a reduced range of motion at the hip.' Photo: Getty Images

1.Introduction:はじめに

 人の心は、覆い隠そうとしても、つい、顔の表情 (facial expressions)やしぐさ・態度(gestures)に現われてしまうもの。けれども、「しぐさ」は、相手に自分の気持ちを伝えるために、なくてはならないものでもある。

 

 ただし、卑劣な人間は、これを悪用する。権力と金をふんだんに行使できる企業・政治家、行政機関・会社などの上役は、両足を大股に開くか、足を組んで、目の前の部下や相手を威圧し、高額なイスにふんぞり返って応対する。これは、「俺さまはおまえよりも社会的な地位が上だ」と威張ってみせる、ケチな強がり屋の気張ったやり方だ。

 

 もちろん、このような態度は、面接会場で、面接を受ける側にとっては許されない。でも、パーティや友だち同士の集まりでは、話が別だ。面接を受ける人のように、両足をそろえ、背筋を伸ばして堅苦しくイスに座っていては、かえって、疎遠な雰囲気・印象を与えかねない。つまり、「しぐさ」は、場所と状況に応じて柔軟に変えることが求められるものなのだ。

 

 ところで、イスに座って「足を組むとき (crossing your legs)」のスタイルとして、次の 2通りがあるのをご存知でしょうか。

 

・crossing at the knees:片方の足を、もう片方の膝の上に組む

・crossing at the ancles:(両足をやや斜めにそろえ) 足首のところで足を組む

 

さらに、左右どちらの足を上にして組むか (a right or left crosser) の違いがある。それも、ある調査によると、

 

・cross right over left (右派)                       :62%

・cross left over right (左派)                       :26%

・have no preference (どちらでもない派):12%

しかし、左右の足のどちらを上にしようが、ヒップのバランスが崩れるのは間違いないこと。それに、床につけた方の足の血行が悪くなって、血栓 (blood clots)リスクが高まる。

 さらに、その血の巡りを回復させようと心臓が頑張るため、血圧が上がる。(だから、血圧測定の際には両足を床につけてイスに座らないと、正しい値が測定できない。)

 

2.Effect on the body:体への影響

2−1 Neck pain(首痛)

  足を組んで座る「時間」と「頻度」が増すにつれて、骨盤 (pelvis)の骨・筋肉の配置にアンバランスが生じて、その変形が「long-term changes (長期化)」するようになる。

 

 さらに、骨盤につながっている「spine (背骨)や「shoulders (肩)」の骨組みに「整合性を欠く (misalighnment)」と、これによって生じる上半身の重心のズレを補正しようと、頭が傾いて、首、背骨に無理な負担が掛かるようになる。だから、この状態が長く続くと、首痛を招きかねない。

 

2-2. Lower back pain (腰痛)

 足を組むことで、骨格のバランスが崩れ (poor posture)、骨盤にストレスと歪み(stresses and srains)がたまって、骨盤・腰部の筋肉にも不均衡な緊張が強いられる。

 とくに「gluteal muscles (臀筋)」の片側だけが長時間引き伸ばされるため、その筋力が低下する。

 

 さらに、脊椎 (spine)の骨組みに異常をきたし、

 

・Scoliosis:脊椎側彎症

・Kyphosis:脊椎後彎症

・Greater Trochanteric Pain Syndrome:大腿骨大転子疼痛症候群 GTPS

 

のリスクが高まる。どれもこれも、腰痛の原因になりかねないものだ。

 

2−3. Peroneal neuropathy (腓骨(ひこつ)神経障害)

 足を組んで、下になった足が長時間圧迫されると、「 Peroneal neuropathy (腓骨神経障害)」のリスクが高まって、足あるいは足の小指側 (the little-toe side of the foot)を上げようとしても、思うように上がらななくなる。一般に「foot drop (たれ足、下垂足)」と呼ばれる症状だ。

 ただし、たいていは、組足をほどいて数分も経てば、もとの状態に戻る。

 

2−4. Affecting sperm production (精子の製造器官にダメージ)

 男性の「testicles or scrotum (ふぐり、睾丸または陰嚢)」は、微妙な温度調整が必要とされる器官だ。常に体温よりも2− 3℃低めに保つことが求められる。

 ところが、イスに座っただけで、その部分の温度は 2℃上昇する。さらに、足を組むと、上昇温度は 3.5℃に達してしまう。この状態では、男性の生殖機能がガタ落ちとなる。男性ホルモン「testosteron (テストステロン)」の分泌が抑制され、「sperm count and quality (精子の数と質)」が劣化する。

2−5. Legs and joints (足と関節に与えるメリット)

 もともと両足の長さに違いがある人にとっては、足を組むと、そのアンバランスが補正されることもある。また、「oblique muscles (斜紋筋)」、「core muscles (体幹の筋肉)」や「疲労」を癒やす効果が期待できる他、上半身の重さを足に伝える「sacroiliac joints (仙腸関節)」の安定性の向上につながるとも言われる。

Woman sitting in meditation pose.

3. Final verdict (最終判定)

・It's probably better to avoid crossing your legs if you can.

 [ ほとんどまちがいなく、できることなら、足を組まない方が無難。]

 

なお、

・sedentary lifestyles:日常生活でイスに座る時間が長い人

・obesity:肥満の人

は、リスクが倍増する可能性があるので要注意。

 

「So with this in mind, (よって、上のことを肝に銘じ)」、

・ゆめゆめ、同じ姿勢で、長時間イスに座らないこと、ときどき立ち上がって、からだを動かすこと。

 

これが、この「articles (小論文・解説記事)」を書いたLancaster大学の Adam Taylor教授の結論だ。

 

 

おわりに:「しぐさ」が社会学的、医学的に重要であることは明白。しかし、現代人が、これについて学ぶことはほとんど皆無に等しい。他人のしぐさをどのようにして正しく読み取るべきか、また、時と場所をわきまえた正しい「しぐさ」、あるいは美しい「所作(しょさ)」とは、どのようなものか、さらに、さまざまなしぐさを英語では、どのように表現するのか、などの基本的な知識は、少なくとも大学の卒業前にマスターすべき課題だ。

 なお、「しぐさ」に関心のある方には、次の一冊をすすめる。

 

小林裕子:しぐさの英語表現辞典、研究社、1991

 

       (写真は添付のRTE Newsから引用)

www.rte.ie