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ぜん息治療の最先端:その「間葉系幹細胞」治療とは!(その2) (RTE-News, March 12, 2020)

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 今年の春は、毎日、新型コロナウイルス感染のニュースが報道され、スギ花粉の不安が薄れたかのように見える。しかし、例年、花粉症が引き金になって、突然、ぜん息に苦しむ人が続出する。

 前回に続いて、ぜん息の医療処置について考えてみよう。

3.ぜん息の主な医療処置

 現在のところ、ぜん息を完治させる治療法 (cure)は存在しない。呼吸器科の医者が選択する「first line treatment (一次処置)」は、吸入器(inhalers)を使ったステロイド剤「corticosteroids (コルチコステロイド、副腎皮質ステロイド)」の噴霧吸入だ。

 これには、次の2種類がある。

・controllers (コントローラー):長期管理薬

・relievers (リリーバー):発作止め

 しかし、いずれも、気道、気管支の炎症を鎮めるとともに気道壁の筋肉を緩めて、空気の通り道を十分に確保し、呼吸が楽になるようにするだけで、ぜん息の完治にはつながらない。

 

4.ぜん息の最先端医療技術

 免疫力の弱まった人 (高齢者など)が気管支喘息を発症しやすいことは、かねてから知られている。なお、Irelandに限ると、ぜん息患者の約40%は、この病気に対する免疫力が不十分で、その症状をコントロールできていない。

 そもそも。ぜん息は、その「allergen or triggers (アレルギー起因物質や誘発要因)」によって、体の免疫力が「dysregulated immune system (機能不全免疫システム)」に陥っている状態だ。ぜん息の、このミクロな発症メカニズムを、呼吸器の「cellular level (細胞レベル)」で解決しない限り、完治は期待できない。

 Maynooth大学の「The Cellular Immunology Laboratory (細胞免疫学研究室)」は、「間葉系幹細胞 MSCs (mesenchymal stromal cells)」と「マクロファージ遊走阻止因子MIF (macrophage migration inhibitory factor)」を使った治療法の開発を進めている。

 MSCsには修復・免疫鎮静効果があり、MIFは、MSCsのブースター効果が期待されるタンパク質だ。

 どれだけ多くの患者が、一刻でも早く、研究結果が実用化されることを待ち望んでいることだろう。

おわりに:病気の治療に当たっては、細胞の変異と免疫システムとの関わりを明らかし、その病巣を根本から治癒する。さらに、病気の予防に重点を置き、免疫力を高める医療に力を注ぐ。それが、近未来社会が求める医療の姿ではないか。

 

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