世界の食糧危機:ミツバチの急減によって加速するって? (RTE-News, Apr 27, 2021)
世界中で有用な飛翔昆虫 (flying insects)の個体数が急減している。Radboud大学の Mr Casper Hallmanらの研究グループが、27年の歳月を掛けて実施した調査研究 (2017年)の結果によると、その27年間で「flying insects biomass (飛翔昆虫バイオマス)が3/4 (75%)も減少したという。
その原因として考えられるのは次の 4点。
・habitat loss:生息地の消失
・pesticide use:殺虫剤の使用
・disease spread:病気の蔓延
・climate change:気候変動
ところで、ミツバチなどの有用な飛翔昆虫は、どれだけ人類に貢献しているのだろうか。最新版の「Pollival report」によると、世界の穀物 (crops)の約 3/4は花粉媒介生物に依存している。したがって、その花粉媒介生物が極端に減少すると、地球上に食糧危機を招きかねない。。
さらに、自然界の花粉媒介生物の働きぶりを、金額に換算すると、年間 €260 billionから€1.1 trillion (約34兆円から145兆円)と報告している。
さて、Irelandには99酒のミツバチが生息し、そのほとんどは「bumblebe (マルハナバチ)」か「solitary bee species (ハキリバチの仲間)」だ。ただし、現存するミツバチの種の 1/3は絶滅の危機に晒されていると言う。
そこで、Maynooth大学「Applied Proteomics lab (応用プロテオミックス研究室)」は、ミツバチの遺伝子の違いや生息環境が、ミツバチの生態・行動にどのような影響を与えているのかについて調査を始めた。
「model-orgnism (モデル)」として注目したのは、「Bombus terrestris (セイヨウ オオマルハナバチ)」だ。これは、ヨーロッパ全土、北アフリカに生息するミツバチの仲間。しかし、Ireland, Canaries (カナリア諸島)、Sardinia (サルデーニャ島)など、大陸から切り離された地で、独自に遺伝子を変えて進化し、生き延びて来たミツバチでもある。
生息環境とくに気候の変化にどのように対応してきたのか、また、「pathogens and pesticides (病原菌や殺虫剤)」がミツバチの「haemolymph (血リンパ)」にどのように影響を与えているのかについて、遺伝子レベル、分子レベルで調べている。
なお、「Bombus terrestris」は、商品 (commodity)として取引され、商業的かつ大規模に飼育されては、農家の「バズ受粉 (buzz pollination)」用として輸出されている。しかし、これによって、
・pathogen spill-over:病原菌の流出
・hybridisation:野生種との異種混合
・competition for floral resources:開花植物の自然淘汰に異変
などが懸念される。
「Bombus terrestris」だけが人工繁殖され、穀物・果樹農家によって大量に野に放たれると、これによって他の種のミツバチの生態が影響を受けないはずがない。
ミツバチの減少をどのようにして食い止め、ミツバチをどのようにして活用していけば良いのか。研究は始まったばかりだ。
おわりに:ハチはハチでも、スズメバチは向こう見ずで、常に攻撃的だ。そのような危険で凶悪なスズメバチを、創造主は、なぜ、この世に送り込ん込んだのだろう。
(写真は添付のRTE Newsから引用)