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使い捨てプラ容器:作って儲かって笑う人間、泣いて死ぬ他生物! (RTE-News, Apr 16, 2023)

 遅まきながら、ようやく、世界の一部の国はプラスチック汚染対策に乗り出した。札幌で開催されたG7(経済主要 7ケ国)による「Minister’s Meenting on Climate, Energy and Environment (気候、エネルギー、環境相会合)[ 4月15− 16日]」において、2040年までに「海洋プラスチック汚染ゴミの新たな排出をゼロ」にすることが合意 (committed)されたのだ。

 この会合決定は、5月にパリで議論される予定の「UN plastic treaty (プラスチック国際条約」制定に先駆けるものであり、環境保護活動団体にとっては大きな成果だった。

 

 日本政府は、確かに、プラスチックの消費を抑える手段を考え、実行に移しもした。それまで、商品の持ち帰り用として、無料で配布されていたビニール袋を有料にした。

 しかし、スーパー、コンビニ、デパート・小売店で販売されている弁当、調理済み食材、野菜類のほとんどは、これでもか、これでもかと言わんばかりに過剰なまでにプラスチック・フィルムか厚手のプラスチック容器で包まれている。その量は膨大だ

 まさに、政府は手をつけやすいところから、あまり文句の出ないところから手をつけたとしか思われない。ビニール袋の有料化は、いっときの「気休め」、あるいは「単なるごまかし (only dodge)」であってはならない。そもそも、いったい、プラスチック消費の削減効果があったのか。その検証結果が公表、周知されてもいない。

 

1.An international treaty by the end of 2024?

 G7の合意といっても、今後、「zero plastic pollution」の経済活動を目指すというもので、すでに自然環境に放出されたプラスチック・ゴミについては触れていない。それを「attainable goal (達成可能な行動目標)」と呼んでいる。

 

・rise of circular economy:循環経済の高まり

・reduction or banning of single-use plastics and non-recyclables:使い捨てあるいは再生できないプラスチックの削減または禁止

 

が進展する状況で、せめて、このくらいはできると判断した内容だ。

 これ以上、プラスチック・ゴミを増やさないようにするために、「考えられる対策(anticipated measures)」としては、

 

・a global ban on single-use plastics:使い捨てプラスチックを世界中で禁止に

・the establishment of a “polluter-pay” system:汚染者負担の確立

・a tax on the production of new plastic:プラスチック生産税の導入

 

しかし、いずれも「Easier said than done (言うは易し、行なうは難し)」だ。

2.How much plastic does the world produce? 

 経済協力開発機構 (The organisation for Economic Cooperation and Development、OECD)によると、世界のプラスチック生産量については、2000年の 2億3,400万トンが、2019年には 4億6,000万トンと約2 倍に膨れ上がった。

 

 すると、「plastic waste (プラスチック・ゴミ)」の排出量も2倍以上に跳ね上がって、2019年には 3億5,200トンに達した。つまり、生産されたプラスチックの 77%がゴミとして捨てられたことになる。

 そして、自然環境に流出したプラスチック・ゴミは、2019年の 1年間だけに限っても、2,200万トン。そのうち、推定約 600万トンが最終的に河川や海洋に流れ着いて、これを汚したと考えられている。

 なお、「UN Environment Asssembly (国連環境総会)」によると、「marin waste (海洋ゴミ)」の 85%は、このプラスチック・ゴミで占められるという。

3.Where is plastic produced?

 世界で生産されるプラスチックの量 (2020年統計)を主な国・地域別でみると、

 

・China:33% (世界全生産量の 1/3)

・ Asia:50%以上

・US & Middle East:35%

・Europe:12% (5,500万トン)

 

4.What about the future?

・「World Wildlife Fund (世界自然保護基金)」は、その「2021年報告書」の中で、このままの状態が続くと、2040年にはプラスチックの生産量がさらに 2倍に達すると予測。

・最善の解決策は、全世界でプラスチックの生産を中止することだ。(しかし、それは、現在の世界各国の政治・経済情勢から判断して、ほとんど不可能。)

・それでは、リサイクルに頼ることができるか。残念ながら、OECDによるとヨーロッパではプラスチックのリサイクル率が1/3以上であるものの、世界全体のリサイクル率は1%にも満たない。

・その他の対策として

 developing packaging-free product:包装なしの商品開発

    returnable items:再利用 (返却) 可能なパッケージ

 eco-friendly designs with long lifespans:長期使用に耐えるエコ・デザイン

  などが考えられている。

 

5.Oil-free plastic?

 これまで、砂糖、デンプン、トウモロコシ、小麦などを原料にしたバイオプラスチックが 開発されたが、その生産量はプラスチック生産総量の 1%以下に留まっている。そもそも、バイオプラスチックの生産には、そのためだけの広大な農地と膨大な水が必要であり、この2つが、バイオプラスチック生産の足かせ (hindrance)となっている。

 

 さらに悪いことに、バイオプラスチックが完璧な「biodegradable or compostable (生分解性あるいは堆肥化可能)」であることは、ごくまれだ。ドイツの環境シンクタンク「The Heinrich Boell Fundation (ハインリッヒ・ベル財団)」によると、

 

” in reality only dodge the issue”

[ 実際には、汚染問題をごまかしているに過ぎない。]

 

と手厳しい。

 

 このため、野菜クズ (vegetable waste)や藻類 (algae)を原料にした第2、第3世代のバイオマスの研究が進められている。

 なお、Austriaの化学品メーカー「Covestro (コベストロ)」は、大気中のCO2から「Polyurethane (ポリウレタン)」の合成に成功している。

 

おわりに:プラスチック製品の主たる特徴は、1.軽量、2.安価、3.清潔にある。しかし、安価であるが故に、使い捨ての習慣が人々の身についてしまった。この時代に「もったいない文化」をよみがえらせようとしても、並大抵ののことではいかない。当分は、「プラスチックに代わるもの」を探すしか方法がなさそうだ。

                    (写真は添付のRTE Newsから引用)

www.rte.ie