心臓発作、脳卒中、心不全:よく歩く人は、その発症リスクが低い! (RTE-News, Mar 2, 2023)
今は、道ばたや駅前に乗り捨てられている自転車。しかし、それさえ、庶民の暮らしが貧しくて、おいそれと買えない時代があった。
そして時が過ぎた。
ほとんどの家庭で複数のクルマを購入し、子どもの送り迎えや近くのスーパーで買い物をするときでさえ、クルマを動かすようになると、歩くのが億劫と感じ始めた。健康的な歩きかたも忘れてしまった。
さて、Alabama大学で疫学 (epidemology)を専門とする Dr Erin Dooleyらの研究グループが、「The American Heart Association’s Epidmiology, Prvention, Lifestyle & Cardiometabolic Health Scientificc Sessions 2023」で発表した研究結果は衝撃的だった。なんと、人は歩かないと心臓が弱り、「cardivascular diseases (心血管疾患)」のリスクが高くなるというのだ。
Dr Dooleyらは、研究に協力してくれた被験者452人 (70歳以上: 平均年齢75歳)全員に、「加速度計 (accelerometer device)」をつけてもらい、3年半にわたって各人の一日の歩数(歩速・歩行距離も)を記録し、その結果から被験者を 2つのグループに分けて健康状態を比較した。
すると、「一日の歩数が2,000歩以下」のグループと「一日の歩数が約4,500歩」のグループの「cardivascular diseases (心血管疾患)」すなわち
・heart disease:心臓疾患
・stroke:脳卒中
・heart failure:心不全
などの発症率を比較すると、
・fewer than 2,000 steps a day:11.5%
・some 4,500 steps a day:3.5%
つまり、一日の歩数がおよそ4,500歩の人は、歩数がその半分以下の人に比べて心血管疾患の発症リスクが 14%も低下することがわかったというのだ。
ただし、一日の歩数を4,500以上に増やすと、心血管疾患の予防につながるのか、またはその発症を遅らせることができるのか、あるいは、この「一日の歩数」を潜在的な病気のインディケーター(指標)として使用できるかなどについては、さらなる研究が必要とのこと。
おわりに:なお、同じ歩行 (walking)でも、ぶらぶら歩く (strolling)のと、背筋を伸ばして軽く汗ばむほどの早足で歩く (brisk walking) とでは、運動のレベルが全く違う。お勧めの歩行スピードは「10分で1,000歩」。その後、むりのない範囲で、腕立て伏せ (push-up) に挑戦してみよう。だれにでも簡単にできる運動だ。ただし、以上のことがつらいと感じる人はからだがなまっている証拠。注意されたし。
追記:この辺で暫時休憩、春休み。大学の授業・講義は、ほんの序の口。学生の皆さんにとっては、「なぜ」の探求と基本的な「知」をじっくりと深めるチャンスだ。
・Ian Sneddon: Elements of Partial Differential Equations
・Cecie Starr et al: Biology; Concepts and Applications
・Atkinson & Hilgard' Introduction to Psycology
・Michael Swan: Practical English Usage
を手に取り、熟読してみよう。きっと新たな発見があるはずだ。
(写真は添付のRTE Newsから引用)