サウジの砂漠に紫の花が咲き乱れ:観光客で賑わう都市ラフハー (RTE-News, Feb 17, 2023)
「アルホザーマ・アルバリィョ ( الخزامى البري) [ alkhuzamaa albariyu] 」とは「Arabic (アラビア語)」で「wild lavender (野生のラベンダー)」のこと。
さて、日頃は無味乾燥の何もない砂漠の一面が、この紫の花で覆われて話題になっている。正確な植物名は不明だが、アラブ人はこの花を「アルホザーマ・アルバリィョ」と呼ぶ。
注目を浴びている場所は、イラクとの国境に近いサウジ第二の都市「Rafha (ラフハー)」周辺の砂漠。この冬は例年に比べて降雨量が多かった。サウジ西部に大洪水を引き起こすほどだった。ところが、サウジ北部の砂漠地帯にとっては恵みの雨となり、生命の復活をもたらした。
砂の他に何もない殺風景な砂漠に、突然、目の覚めるように鮮やかな紫の花が、じゅうたんを敷きつめたように一斉に咲き出したのだ。
この景色が人々を魅了し、「アルホザーマ・アルバリィョ」の花を一目見ようと、サブジアラビア半島の各地からたくさんの観光客が「Rafha (ラフハー)」に押し寄せている。そこで、その砂漠の地元の住民たちは、ラクダが花園に近づいて、せっかくの観光資源を食べてしまわないように注意をはらっているとか。
なお、取材に当たった記者には、観光客からこんな声があったという。
1.Muhammad al-Mutairi (ムハマド・アルムテアリ):教師を退職した男性(50歳)
サウジ中心部にある自宅からクルマを運転し、ほぼ 6時間をかけてたどり着いた。
それもこれも、くすんだ色の砂漠に突如として現われた珍しい花園を鑑賞するためだ。この男は、遥か遠くまで、まるで紫の海のように広がる花園を眺めて、こんなふうに語ったそうだ。
・.”No one expects that this scene is in Saudi Arabia.”
[ この景色がサウジアラビアにあるなんて、だれにも想像できない。]
・”The smell and sight refreshes the soul."
[ アルホザーマ・アルバリィョの花の匂いとその花園の光景のおかげで、心がリフレッシュする。
2.Nasser al-karaani(ナサ・アルカラーニ):サウジのビジネスマン(55歳)
首都「Riyadh (リヤド)」からここまで770kmの距離を4駆でやって来た。砂漠の花の見ごろは開花後15− 20日間だ。それが過ぎたら花はしおれてしまう。そこで、この花の景色を満喫するために、ここにやって来たのだ。
こう言って、その男はクルマからテントをおろし、友だちの助けを借りて、そのテントを張り出した。これから、みんなで火の周りに寄り添ってコーヒーを楽しむそうだ。寒いと見えて、伝統的な「thobe gown (トーブ)」の上に厚手のジャケットをはおっている。そして語ったことは
・" This atmosphere makes me feel at ease."
[ この自然環境は、心に安らぎを与えてくれる。]
3.Hamza al-Mutairi(ハムザ・アルムテアリ):サウジ在住の男性(56歳)
友人と一緒にキャンプ中の、この男は、「 recharged by the natural spectacle (このすばらしい自然のスペクタクルで心の疲れがどれた)」気分と言い、
・” It gives a person a new motivation for life.”
{ 見る人に、新たな生きる力を与えてくれるものだ。]
4.Abdul Rhaman al-Marri(アブドル・ラーマン・アルマリ):カタール在住
鮮やかな紫の花をひと目みようと、隣国カタールからクルマを飛ばして来た男の言葉は、
・”The sight is worth" the more than 12 hour journey."
[ この花の光景は、旅に12時間以上をかけた価値がある。]
・”It's as if you are in paradise.”
[ まるで天国にいるみたいだ。]
おわりに:砂漠の生態系は貧しい。そこに突然、花園が現われた。まさに、それは自然の不思議、奇跡、驚異だったに違いない。
(写真は添付のRTE Newsから引用)