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野菜をタネから育ててみよう:そのタネのとり方のコツ! (RTE-News, Sep 28, 2022)

Seed detective Adam Alexander reveals some tricks of the trade. By Hannah Stephenson.

 春がやって来ると、園芸店ではトマト、ナス、ハーブなどの苗の数々が所狭しと並ぶ。しかし、近年、その野菜の苗の価格がずいぶんと高くなった。

 

 ところで、市場で販売されている野菜のタネもしくは苗には「F1 hybrids (雑種一代  [交配種])」と「open pollinated varieties (放任受粉品種 [固定種])」の2種がある。「F1 hybrids (交配種)」の野菜は一代限り。つまり、毎年新しいタネまたは苗を買い求める必要がある。

 たとえば、交配種の青じそを庭で育てると、翌年、そのまた翌年も、地面にこぼれたタネから青じその芽が出ることは出る。しかし、徐々にその葉の色も風味も、最初の青じそとは似て非なるものに変わることは、よく知られたことだ。

 

 そこで、「the seed detective (タネ探究家)」の異名をとる Mr Adam Alexanderによると、園芸店でタネを求めるときは、必ず「固定種」を選択し、その野菜から毎年タネをとって栽培を続ける方が経済的で、成長も早い優れた品種を育てることができるという。

 なお、Mr Alexanderは、Wales南西部「Chepstow (チェプストウ)」にある広さ3.5 acres (1.4ha)の農場で、約100種の固定種の野菜を栽培し、そのタネを採取しては保存と普及に力を注いでいる園芸の専門家だ。

 

 以下に、その Mr Alexanderの著書「The Seed Detective」に記載された、ごく一般的な野菜からタネを採取するコツについて紹介する。

 

1.Peas and beans:エンドウ、マメ類

 マメ科の野菜は、全てを収穫せずに、畝に数株を残し、その実が乾燥して完熟するまで放置する。カラカラになったなら、これをサヤごと摘み取り、風通しの良い場所で十分乾燥させる。その後、サヤを割ってタネを取り出して封筒に入れ、さらにプラスチック容器にて密封し、冷蔵庫で保管する。Shelled dry peas (Adam Alexander/PA)

2.Tomotoes:トマト

 トマトのタネは固定種から採取すること。伝統的な品種として「Cherpkee Purple()」「Harbinger」などが挙げられる。

 完熟したトマトを半切りまたは四つ切りにし、そこからタネを取り出したら、これをふるい (sieves)に載せ、水道水でタネに付着した肉質を洗い流す。その後、耐油紙(greaseproof papers)の上にタネを薄くまき散らし、風通しの良い場所で、2、3日陰干しする。十分に乾いたら、紙の上のタネをナイフでこそぎ取り、その塊を指でもぎほぐしてバラバラにし、さらに 1週間乾燥させる。こうしてできたタネは封筒に入れ、さらにプラスチック容器に入れて冷暗所で保管する。条件さえ良ければ、10年間は保存できる。Tomato seeds need to be cleaned (Adam Alexander/PA)

3.Squash and courgette:スカッシュ、ズッキーニ

 スカッシュとズッキーニは、完熟したものを真っ二つにして、中からタネを取り出す。これを「水切りボール (colandars)」を使って十分に水洗いし、肉質を洗い流す。その後、耐油紙上に載せて、風通しの良い場所で乾燥させる。スカッシュのお勧め品種は「Turk’s Turban (トルコ・ターバン)」、「Uchiki Kuri (赤皮栗カボチャ)」。

 ただし、タネが完全に乾燥すると、パキンと折れやすくなるので要注意。Save your squash seeds (Adam Alexander/PA)

4.Lettuce:レタス

 レタスを畝に放って置くと、茎が伸びて「bolting (薹(とう)立ち)」し、花が咲く。この花を摘み取って綿毛を吹き飛ばすと、小さなタネが手元に残る。レタス 1個から数千のタネが採取できる。「Cos lettuce (ロメイン・レタス)」が好きな人は、「Little Gem」、「Webb's Wonderful」などの固定種のタネを選ぶこと。Little gem lettuce in flower (Adam Alexander/PA)

5.Chilles and peppers:トウガラシ、ピーマン

 トウガラシ、シシトウ、ピーマンは熟して赤く色づいた実を摘み取る。タネを取り出したら耐油紙の上で2、3日乾燥させる。これだけで保存可能な状態。

 

6.Spinach:ホウレンソウ

 夏の収穫を見送って薹立ちさせたホウレンソウ。これに花が咲いたら、その下に袋を置いて、茎を揺するだけでタネが採取できる。

 

7.Parsnips:パースニップ(アメリカボウフウ)

 パースニップを冬越しさせると、次の夏には薹立ちし、たくさんの小さなが花が咲く。花は茎ごと切り取って大きめの紙袋に入れる。これを吊るして陰干しにし、完熟させる。すると、数週間後にタネがひとりでに袋に落ちてくれる。

 

おわりに:小さな小さなタネは、奇蹟 (miracles)のかたまりだ。どんなに小さなタネであっても、春には芽を出し、それがずんずん伸びて花を咲かせて実をつける。今のところ、科学者がどんなにがんばったところで、こんなに精巧なシステムを作り出すことは不可能だ。

      (写真は添付のRTE Newsから引用)

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