猛暑の庭の草花・野菜は げんなり:すぐに水やりすべき種目は?
園芸家にとって、夏は、庭に植えた草花や野菜の水やり作業と雑草取りに奮闘するときだ。とくに、猛暑や日照りが続くと、ピーマン、トマト、ナス、キュウリなどの野菜はもちろんのこと、乾燥に強いとされるハーブもげんなりしてくる。そこで、あわててたっぷりと水を与える。すると、今度は、ミント、セージ、ローズマリー、ラベンダーなどはかえって株が弱まり、トマトの実は割れ始める。最悪の場合、せっかく大きく育てたミント、セージ、ラベンダーが庭から姿を消すこともある。いやはや、適切な水やりは結構むずかしいのだ。
そこで、RHS (国立園芸協会)の主任園芸員 Mr Guy Barterは、だれもが知りたい水やりのコツについて、その優先度の高いものから順に以下に述べる。
1.Pots and hanging baskets:鉢植え、花かご
鉢やハンギング・バスケット(花かご)に植えた植物は、なにしろ根が狭い空間に押し込まれている上に、わずかな土壌の中の水分と肥料分に生命を託している。空気が異常に乾燥したり、直射日光に当たるものなら、ひとたまりもない。ただし、地中海気候が好みの
・pelargoniums:ゼラニウム
・lavender:ラベンダー
は、この限りではない。むしろ、頻繁に水やりすると株が弱る。
なお、日照りのときは、鉢ものはできるだけひとまとめにして日陰に置き、さらに強い風が当たらないようにすると、乾燥を防ぐことができる。また、鉢の下に受け皿(saucers)を敷いたり、自動給水器( built-in reservoir)を使用しても効果がある。
2.New plants:種まき、苗の移植
庭に植物を植えたときには、それが種まきであれ、苗や木の移植であれ、庭の土に根が充分に張るまで、毎日水やりは欠かせない。
新芽が出たり、苗丈が伸び始めたら、水やりの回数は3−5日おきに減らすこと。
また、園芸店で苗木を購入し、庭に移植したときは、10日おきに、木の根全体に水が充分に染み渡るように水やりする。
一方、乾燥に強いハーブ
・sage:セージ
・rosemary:ローズマリー
・thyme:タイム
の苗を購入し、庭に植え付けたときは、数週間に一度の割合で水やりすれば良い。植え付けて1年経過した上述のハーブについては、水やりが不要。これらは乾燥することによってハーブの香りが強くなる種だ。
3.Perennial borders:庭の多年生植物
耐乾性多年生植物 (drought-resistant parennials)の
・lupins:ルピナス
・stachys:スタチス
・Phlomis russeliana (Turkish sage):フロミス・ルッセリアナ
は極めて乾燥に強いため、夏といえども、水やりする必要はない。
それに比べて、夏に雨が降る地方 (summer rainfall regions)の「北米の大草原 (prairie regions)」原産の
・rudbeckias:ルドベッキア
・echinaceas:エキナセア
・phlox:フロックス
は、干ばつ (drought)に弱い品種。とくに、庭が、水はけのよい砂地だったり、植物の根が張りにくい粘土質の土壌であれば、2週間に1回の水やりが必要。ただし、それも、植物の生育状況次第。植物をよく観察し、必要とされるときに、必要な量を与えることがコツ。
4.Vegetables:野菜類
野菜を種(たね)から育てるときは、苗床を一晩水に浸して種まきする。双葉が出た苗や植え替えた苗には、それが大きくなるまで2日おきに水やりする。十分に生長したなら、水やりは10- 14日に一回とする。
なお、野菜の主成分のほとんどは水だ。だから、野菜の土壌には常に湿り気があることが望ましい。水やり後に、水が根元まで十分に滲みているか「移植ゴテ (trowels)」をつかって確かめること。
・レタス:葉っぱがロゼット(rosettes)を作り出したら、定期的に水やり。
・トマト、豆類:枝に花がついているときは、定期的に水やりする。ただし、トマトの水やりには注意が必要だ。水の量が多すぎても、水やりが不規則になっても(それに加えて、土壌に石灰が不足しているとき)「しり腐れ病 (blossome end rot)」を起こして、実が腐ってしまいがちだ。
5.Woodland plants:森林植物
乾燥に弱い森林植物の
・camellias (Japonica):ツバキ
は、日陰に植えることだ。
6.とくに乾燥に強い植物を選ぶとしたら
・roses:バラ
・lawns:芝生
・Cistus ‘Silver Pink’:ハンニチバナ
・lamb’s ear:ラムズ・イヤー
・sage:セージ
・hayssop:ヒソップ
・thyme:タイム
・savory:サボリー
・santolina:サントリーナ
・dwarf conifers:矮性針葉樹類
おわりに:これまで、夏場に水を与えすぎて筆者が失敗した品種はトマト、ラベンダー、ローズマリー、ミント、セージ、カモミール。日中の暑さで葉っぱがしおれているからと言って、すぐに水を与えてはいけないのだ。
(写真は添付のRTE Newsから引用)