ヒロシのWorld NEWS

世界のニュースを日本語でお届け!

糖分(sugar)、甘いもの(sweets)を断つと:頭が痛くなるって! (RTE-News, Aug 25, 2021)

'Intense sweetness surpasses even cocaine in terms of the internal reward it triggers in our brains'. Photo: Ilona Shorokhova/Shutterstock

1.Sugarとは

 砂糖は「sugar」と訳す。しかし、英語の「sugar」には「砂糖 (ショ糖)」の意の他に、「糖質」、「糖分」の意味も含まれるので、注意が必要だ。語義の範囲が違うのだ。

 たとえば、糖質 (sugar)には

・starch:デンプン

・sucrose:ショ糖

・fructose:果糖

・lactose:乳糖

・glucose:ブドウ糖

・maltose:麦芽糖

などが含まれる。

 

 さらに、甘いもの (sweets)を、一般に、「糖分 (sugar or sugar content)」と言うから、ややこしい。

 ここでは、とくに断らない限り、「sugar」は「sweets」の意味とする。

 

  「sugar」を摂り過ぎると、体重が増え、虫歯の原因にもなりかねないことは、よく知られている。しかし、逆に、この「sugar」をまったく摂らければ、どうなるか。実は、とんでもないことが起きるのだ。その辺の事情を Aston大学の Dr James Brownが丁寧に説明する。

 

2.「sugar」の働き

 スイーツが口の中に入って、「sweet taste receptors (甘味受容体)」が刺激を受けると、前脳の側坐核 (nucleus accumbens)から、神経伝達物質 (neurotransmitter)のドーパミン (dopamine)が中枢神経系に放出される。

 このドーパミンは、人が喜び・報酬にあずかるなどの「rewarding stimulus (報酬刺激)」を受けたときに、中枢神経系に働くため、報酬系化学物質 (reward chemical)とも呼ばれる。

 

 一度、ドーパミンの放出を伴う喜び・報酬を経験すると、人は何度も、その「rewarding stimulus (報酬刺激)」を求めようとする。

 つまり、スイーツやジャンクフードを食べて、そのおいしさを知ってしまうと、生理学的に、また、同じスイーツ・ジャンクフードが欲しくなってしまうのだ。

 このときの「intense sweetness (強烈な甘さ)」を求める欲求は、内的報酬 (internal reward)の点では、コカイン (cocaine)よりも強力とか。

 

 なお、ラットを使った動物実験によると、ラットに「ショ糖」を与えると、その「脳構造 (the structues in the brain)」に変化が認められたという。

 さらに、ドーパミンはホルモンを調整したり、「やる気」を起こさせる化学物質とされ、その生成機能が低下すると、パーキンソン病の発症につながることも知られている。

 

3.「sugar」を断つと、どうなるか

  「楽しみがあるから、行動する」。この原動力の源(みなもと)が「sugar」だとすれば、「sugar」を断つことは危険だ。Man presses his hand to his forehead in pain. He has a water glass in the other hand.

 結論から言って、薬物依存者 (drug addicts)の禁断症状によく似た「sugar withdrawal (糖分禁断症状)」が現われる。その具体的な症状として

 

・depression;うつ

・anxiety:不安

・brain fog:モヤモヤ気分

・craving:のどから手が出るほど欲しくなる

・headaces:頭痛

・fatigue:疲れやすくなる

・dizziness:めまい

 

つまり、「sugar」を断つと、気分がすぐれなくなるのだ。この原因は、ドーパミンの放出が止まって、「reward pathway (脳の報酬経路)」が強い影響を受けていることにあると考えられている。

 

 だから、肥満を気にして、突然「sugar」を断つと、禁断症状が現われて、むしょうに「sugar」が欲しくなったり、食べ過ぎたりすることもあるので、注意が必要なのだ。

 なお、時間をかけて徐々に「sugar」の摂取量を減らす際には、最初の数週間に、その成功の重要な鍵があるという。

 

 しかし、結局のところ、

 

‘ Sugar isn't ”bad” per se, but that it should be eaten in moderation alongside a healthy diet and exercise.’

[ 糖分それ自体は、体に悪いものではない。しかし、甘いものは、ほどほどにとどめておくように。そして、健康的な食事と運動を忘れずに。]

 

おわりに:むしょうにチョコレートやケーキを食べたくなったら、危険信号。自分の好みは おろか信念・行動、気分・感情まで「甘いもの」に支配されてしまっては、「addiction(中毒)」の一歩手前だ。いやはや、中庸、平常心と言っても、口で言うほど簡単ではなく、「甘いもの」ほど、手ごわいものはない。

                 (写真は添付のRTE Newsから引用)

www.rte.ie