熟睡できる人、良く眠れない人:「完璧な睡眠」なんて、あり得ない! (RTE-News, Nov 10, 2021)
生活習慣は、人それぞれ皆 違うもの。夜、何時に寝ようが、それは、その人の生活リズミに合っていれば、それでいいことだ。
しかし、UKの「Biobank」に登録された88,026人のデータを分析した研究によると、就寝時間が早すぎても遅すぎても、「Cardiovascular disease (心血管疾患)」の発症リスクは高くなることが分かったという。
その研究では、リスクが最小となる就寝時間は「10- 11pm」。そこで、この時間帯でベッドに入る人に比べて、どのくらい、心血管疾患のリスクが高くなるのかを示すと
・就寝 10pm以前 :+24%
・就寝 11- 11:59pm:+12%
・就寝 12pm以降 :+25%
もちろん、心臓疾患は、就寝時間だけに影響されるわけではない。主な要因に
・遺伝子
・食生活
・生活スタイル
・高血圧
などがある。また、研究の目的は、心血管疾患の原因を究明することではなかった。さらに、この研究結果が、誰にでも当てはまるとは限らないことにも注意が必要だ。
しかし、世の中には、十分に満足できる睡眠がとれていない人が多い。それはまぎれもない事実。
このRTEの記事は、そんな人のために、Dr Guy Meadowsが勧める対処法だ。
1.Take the pressure off:プレッシャーから解放
とことん、心ゆくまでぐっすり眠りたい。誰もが願う気持だ。しかし、「完璧な睡眠(perfect sleep)」を求めても、そんなものは存在しない。「思うように眠れない」のが普通 (normal)などだ。
だから、ぐっすり眠れない人の多くが、思い違いをして、眠れないことをプレッシャーに感じているなら、まずは、そのプレッシャーを取り除くことが大切だ。
また、ベッドに入って眠れないなら、
・身体から力を抜いてリラックス
・あれこれ考えすぎない
などと言われるが、眠ろうとして、なかなか眠れないときは、ますます心配事が頭の中を駆けめぐり、「安らかな睡眠 (peaceful slumber)」が遠のいてしまうもの。
そもそも、人間の脳は、心配事や悩みごとを考えるように設計されている。だから、むしろ、ベッドに入って、クヨクヨと考えるのが「normal (普通、正常)」なのだ。眠れないからと言って、自分を責めてはいけない理由が、ここにある。
問題なのは、少々眠れない日が続いたからと言って、「眠れないこと」が頭から離れなくなり、心の重荷になって「過覚醒 (hyperarousal)」あるいは「insomnia (不眠症)」に陥ってしまうことだ。
2.Take the focus off bedtime:ベッドタイムを忘れる
Dr Lindsay Browningによると、夜、よく眠れなくなると、今度は、夜が怖くなるそうだ。日中、不眠が頭から離れず、それが、一層、事態を悪化させる。
こんな人は、生活スタイルを次のように変えると、効果があるという。
・コーヒーは午前中にだけにする。
・就寝前にお風呂に浸かり、心身をリラクスさせる
・適度な運動 (汗を流すと、熟睡できる。ただし、就寝直前の運動は避ける。)
3.Time to ACT:アクセプタンス・コミットメント療法のすすめ
「眠れない、ねむれない」と悩むよりも、「Acceptance and Commitment Therapy (ACT)」を試してみることがお勧め。これは「認知行動療法 (Cognitive Behaviour Therapy)」の一種。
この治療法の目的は、眠れない原因となっている心配ごとや悩みを取り除いたり、そこから逃れることではない。「今の自分の心の状態を認め (present moment awareness)て、破滅的な不眠障害に陥らないようにする方法だ。
さらに「self-kindness/compassion (自分への思いやり)」も効果的だ。心の不安は、ごくありふれた気分転換、運動で軽減するという。ほんの 10分程度の散歩、キッチンに立って昼食の準備、TVウオッチングだって、やってみると気分が晴れる。
4.Put that phone away (or at least try):スマホを離せ
睡眠を妨げている原因の一つがスマホであることは、明らか。寝ても覚めてもスマホが手離せない、ベッドに入っても、スマホが気になって仕方がなくなると、重症。(これはもうスマホ中毒。)
寝室にスマホを持ち込まない方が良いに決まっている。しかし、これができないなら、せめて、ベッドから少し離れた場所にスマホを置くことだ。慣れたら、少しずつ、その距離を長くすれば良い。
できることなら、就寝前はスマホを見ずに、読書したり、音楽を聴くことだ。
さて、一度身についた習慣を変えることは、誰にとっても むずかしいもの。また、良いことだと思っていても、なかなか、それを完璧に実行に移せないもの。人生とはそんなものだと、この記事は教える。
おわりに:「あすは大事な試合だ、運動会だ」とあっては、その夜、ベッドに入っても、すぐに眠れない。心配ごとがあっても同じ。けれど、それは、ごく普通のことだ。眠れない日があったとしても、とくだん問題はないのだ。
それよりも、現代人、とくにデスクワークに従事する人は、とかくストレスが溜まりやすく、運動不足になりやすい。汗ばむほどの運動 (階段の駆けのぼりなど) をすると、その夜、ぐっすりと熟睡できる。ぜひ、試してみてほしい。
(写真は添付のRTE Newsから引用)