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このところ、やる気が出ない:もしかして、季節性情動障害SAD? (RTE-News, Oct 9, 2021)

 ドイツ、イギリスの冬は寒く、陰鬱な天気が続く。ゲーテもハイネも、まぶしいほど太陽の光が満ち溢れる南フランスやイタリア南部への旅行にあこがれた。

 

 明るく、温かい日光を浴びると、心が晴ればれする。反対に、辺りの景色の何もかもが白一色の雪で埋めつくされ、来る日も来る日も吹雪が続いて、ずっと家の中に閉じ込められると、気持までふさぎ込んでしまう。

 

 さて、日が短くなって冬が近づくにつれ、顔色は悪くなるし、気分がすぐれない。けれども、春が訪れ、ポカポカ陽気に変わると、心のモヤモヤがいっきに消え失せる。毎年、こんなことを繰り返しては いませんか。もしかしたら、「季節性情動障害 SAD (Seasonal Affective Disorder)」。

 

 SADの症状は、人によって違う。たいていは 20− 30代で発症し、なぜか女性の発症率は男性のおよそ 4倍。

 主な原因は、日照不足にある。冬がやってきて、日照時間が短くなると「melatonin (メラトニン)」の分泌量が減少し、「lethargy (倦怠感)」に襲われる。やがて、それがこうじて、「うつ病(depression)」の症状を示すようになる。Over It Ugh GIF by The Hills - Find & Share on GIPHY

 メンタルヘルス・チャリティ団体「Mind」のMs Rosie Weatherleyによると、SADについては誤解されている点が多いという。

 以下はその誤解の代表例だ。

 

1.SAD isn’t real:SADは病気じゃない

 SADは、「気分が不調なだけで、病気ではない」との誤解。しかし、SADはまぎれもない「mental health disorder (心の病、精神疾患)」だ。この病気の原因はうつ病の原因に近いと考えられ、必ずしも季節の変わり目に発症するとは限らない。

 ・日照時間の変化

 ・(夜勤勤務などで)体内時計が狂い出すこと

 ・寒い冬の過ごし方

によって、SADを発症することがある。 

 

2.Winter didn't used to make you feel sad - it can’t just suddenly start:子どもの頃、冬は楽しかったはず - SADは突然発症しない

 いつ、SADが発症するかは、人によって皆違う。たとえ、子ども時代に楽しい冬を過ごした人であっても、大人になって冬を迎えると、SADを発症することがある。



3.Everyone experiences low energy during the winter months, you can snap yourself out of it:誰だって、冬には やる気が出ないもの。そのうち良くなるさ

 冬に暗い気分になるのと、SADの心の障害とはまったく別もの。なお、人によっては、冬ではなく夏に SADを発症することもある。症状は、うつ病 (depression)に似て、日常生活に深刻な影響を及ぼすこともある。

 

4.You're still working, so you maust be fine:きちんと働いているじゃないか。だったら、どこも悪くないのさ

 仕事が続けられているからと言って、その人が「心の病」で苦しめられていないとは限らない。一般人のおよそ 4人 1人は、一生の間に、なんらかの「mental health problems (心の病)」を経験すると言われる。人は、たとえ、心に傷を負っていても、なんとかやっているだけだ。それを口にしないからと言って、悩みのない人だと決めつけてはいけない。

 

5.There is no cure - you just have to reide it out:SADは治療できない。乗り切るだけさ

 そんなことはない。季節性情動障害 SADは治療可能で、症状を改善できる精神疾患だ。これまで、さまざまな治療法が開発されている。

・事前予防:冬が近づくとSADが発症するなら、日照不足を補うと効果がある。できるだけ日光を浴び (または光療法を受け)たり、戸外で過ごす時間を長めにとるなどの対策をとってみよう。

・運動:家事やガーデニングなどの比較的軽い運動であっても、気分が晴れ、やる気が出てくるもの。これまでの研究によると、運動を毎日続けていると、うつ病に罹りにくくなると言う。

 

 それでも、フツフツ、陰々とした気分が2週間以上続く、あるいは何度も「ウツ」をぶり返すなら、専門医の診断を受けた方が良い。

  

おわりに:SAD、Depressionの最大の敵は、「一人で悩むこと」。信頼できる親しい友人や家族と話し合うだけでも気持が晴れるし、どうすれば良いかが、はっきり見えてくる。専門医に相談するときは、くれぐれも、その選択を慎重に。

     (写真は添付のRTE Newsから引用)

www.rte.ie