毒グモ (ゴケグモの仲間) に咬まれた!:貴女だったら、どうする? (RTE-News, Oct 23, 2021)
蜘蛛(クモ)だって寒さが嫌いだ。北風が吹き始めると、クモは隠れ家を求めて人家に侵入する。とくにメスグモにとって、人家は卵を産んで子育てするのに最適な場所だ。このメスを追ってオスグモも家の中に入り込む。
クモたちのほとんどは、ダニ、蚊、ゴキブリなどを捕食してくれるので、益虫。しかし、クモの中にも悪党がいる。それが、「ゴケグモ属 (widow spider family)」の「クロゴケグモ (black widow spiders)」の仲間「false widow spiders」。
この毒グモの寿命は約5年。しかも、メスは年間約800個の卵を産み落とす。
さて、「false widow spiders」が、Irelandではじめて確認されてのは1999年。それから20年ほどの間に、Ireland全土に拡散した。今では、「greater house spiders (アシダカグモの仲間)」とともに、Irelandでは、全国どこにでも、ごく普通に見られる おなじみのクモとなってしまった。
すると、困ったことに、この毒グモに咬まれる事件が相次ぐようになった。「false widow spiders」の毒は、さほど強烈なものではなく、咬まれても、死亡することはほとんどない。しかし、ごくまれに、細菌感染 (bad bacterial infections)、皮膚組織の壊死(necrosis of the skin tissue)を起こし、入院が必要なほど重症化することもあるので、注意が必要だ。
1.毒グモに咬まれたときの処置
・すぐに咬まれた患部を石鹸と水でよく洗う
・さらに、患部を保冷剤で冷やす
・咬まれた部位が手や足なら、これを上に挙げておく
・患部は、ぜったいに掻かない
2.咬まれたときの症状
2.1 局所:咬まれた箇所が赤く腫れる (ほとんどの場合、すぐに赤みが消える)
2.2 全身 (ごく、まれに)
・吐き気、嘔吐
・頭痛
・震え
・さむ気または ほてり
2.3 観察
・赤く腫れた箇所をまるく囲んで、時間の経過とともに、腫れが大きく広がっていないか、確認すること
・そして、近くの薬局でアドバイスを受ける
2.4 体調が悪化したとき
吐き気などの症状が現われたら、すぐに医療機関で手当を受けること。
3.毒グモに咬まれないために
「false widow spiders」は、攻撃的なクモではない。
“ They’re more afraid of you than you are of them.”
[ あなが敵を怖がるよりも、敵は はるかにあなたを怖がっている。]
しかし、なにぶん、クモが間違えて衣類やベッドの中に入り込んでしまったら、大変だ。クモはビクビク怖がって、人間を咬んでしまうからだ。
クモに咬まれた人の 88%は、衣類やベッドのシーツの中に隠れていた毒グモに気づかないで、咬まれているという。このため、着衣時あるいは夜、ベッドに入るときは、クモが侵入していないか、よく注意することだ。
おわりに:どんなクモでも、虫めがねで拡大して見ると、恐ろしい顔つきをしている。しかし、その性質は、詐欺・窃盗、殺傷を気にもしない人間ほど凶悪でも戦闘好きでもない。いたって心穏やかな生物だ。
(写真は添付のRTE Newsから引用)