スーパー、工場に「もの」がない:EU離脱でUK内の物流に異変! (RTE-News, January 9, 2021)
「それは分かっていたことだ。ただ、国民に知らせていなかっただけだ。」そんなことは、いくらでもある。
まともな準備、施行期間もなく、ほとんどの企業が通商・貿易ルールの変更に追随できる能力を持ち合わせていないのに、イギリスは 1月 1日からEUを離脱し、EUの単一市場と、その「customs union (関税同盟)」から抜けた。
EUとの離脱交渉で、最後まで争った「Narthern Ireland (北アイルランド)」の扱いについては、釈然としない、無理やりな形で決着を付けた。すなわち、「N. Ireland」は、UKの「customs territory (関税域)」に属しながら、「EU's single market (EUの単一市場)」に協調をとる「二股体制」に移行したのだ。
そして、EU離脱から1週間が経過した。物流はどうなったか。心配したとおり、とんでもない事態が発生した。「N. Ireland」のスーパー、工場から「もの」が消えたのだ。
最大の原因は「The world 's most complex customs processes (世界で最も複雑な関税手続き)」。「N.Irelandのトラックを乗せた貨物船が、England本国から「N. Ireland」に、おいそれと渡れなくなった。なんとも面倒な「customs declarations (関税申告)」が求められるのだ。これで、これまでの「supply chain (物資供給システム)」は完全に崩壊し、流通網は麻痺状態に陥った。
「The UK's Road Haulage Association (英国運送協会)」は、これを「boat breakdown (ボート・ブレイクダウン [船舶故障])」と呼ぶ。
そのせいで、「N. Ireland」のスーパーの棚から商品が消え、工場には「raw matierials supply (原材料の供給)」が途絶えた。
さらに追い打ちを掛けるように、コロナウイルス Covid-19が住民を苦しめる。UK政府が「lockdown」を発令したため、「hospitality sector (飲食・宿泊業)」、「non-essential retailers (非生活必需品販売業)」は、今後1ヶ月間の営業停止を求められるのだ
なお、内閣府担当相Michael Gove (マイケル・ゴーブ)は、1月 8日(金)、『N. Irelandと England本国間の物流は、良くなるどころか、さらに悪化するだろう』と述べたという。
おわりに:「泣きっ面に蜂」は、よくあることだ。しかし、それもこれも、政治家(権力者)の失策のせいとあっては、泣くに泣かれまい。
(写真は添付のRTE Newsから引用)