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「Halloween(ハローウィン)」:ケルトの亡霊が徘徊する祭り! (RTE-News, October 17, 2020)

Luke Rix-Standing dares to investigate the creepiest night in the calendar.

1.「Halloween」とは

 ケルトの伝説・伝統が、これほど宗教 (キリスト教会)の権威拡大、商人の販売セール、それに単なる「飲み会」に利用されたものはない。それが「Halloween (ハローウィン)」だ。

 

 この「Halloween」は「All Hallow Even」すなわち「All Hallows Day」の前夜が語源。その「Hallow」とは「Holy people (聖人)」の意味。そして、歴史の長い間に「All」が省略され、「Hallow」と「Even」がくっついて「Halloween」となった。

 

2.ケルトの祭り「Samhain」と「Halloween

 しかし、その昔の「October 31」には、「All Hallow Even」などなかったのだ。8世紀の頃、第90代ローマ教皇「PopeGregory Ⅲ (グレゴリー3世)」が「in a slyly successful attempt (悪知恵を働かせて)」、それまで4月に執り行なわれていた「All Martyrs' Day (殉教者デイ)」を無理やり「November 1」に変更し、「All Hollows Day」と名前まで変えた。

 

 その、目的は、民衆の間に広まっていた「ケルトの祭り」を教会行事に取り込んで、「Christianity (キリスト教)」の権威を高めることだった。

 

 その結果、民衆は、当時、絶対的な権力を誇っていた教会に対して、何の気兼ねをすることなく、「bonfires (焚き火)」を焚き、「costumes (仮装し)」、「どんちゃん騒ぎ (merriment)」ができるようになった。

 

 そもそも「Halloween」の原型は「an ancient Celtic festival (古代ケルトの祭り)」の「Samhain(サウィン祭)」だ。10月31日から11月 1日になることは、ケルトの暦(こよみ)で、夏から冬に変わることを表わし、夏の最終日の「October 31」には、「あの世」と「この世」の「veil [帳(とばり)] 」がほとんど消えかかる。そして、その帳(とばり)をすり抜けた亡霊が、この世に現われて、街を徘徊するのだと言う。

 そこで、人々は、亡霊に供物を捧げ (offering of food)、焚き火(bonfires)を焚いて、亡霊が家の中に入らないようにした。

 

 中世の England、そして16世紀前半の Scotland、Irelandでは、貧しい家庭の子どもたちが白いシーを頭にかぶったり、おばけの格好(guising)をして、歌を歌い、詩を朗読しながら裕福な家を「門付(かどづ)け」し、「soul cakes」や「treat」をねだった。ただし、当時の「treat」としては、「fruit or nuts」が一般的だった。 もちろん、子どもたちが「trick or treat」などと叫ぶことはなかった。

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3.「trick or treat」の呪文

 その後の 19世紀、Irelandでは「Potato Famine (ジャガイモ飢饉)」が起こり、大勢の Irishが大西洋を渡って北米大陸に逃れる。移民は、Irelandの文化、伝統、風習、そして「Halloween」までUSに持ち込んだ。

 

 現在、子どものだれもが口にするようになった「決り文句」の「trick or treat」は、奇妙なことに、北米大陸で生まれた。なんという驚き。活字になって世に現われたのは 1927年の Canadaの新聞が初出だった。

 やがて「Halloween」の子どもたちの様子が、USのマンガ「Peanuts」、「Snoopy」、「Donald Duck」に取り入れられ、そのマンガの中の子どもたちが唱える呪文のような「trick or treat」が一般大衆に広まった。

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  そして、またまた奇妙なことが起こる。その「trick or treat」の呪文がUSからUKに逆輸入され、UKの子どもたちが「trick or treat」と叫んで、家々を回るようになった。しかし、子どもたちがドアをノックしても、Brits (イギリス人)は「po-faced (冷たく、そっけなかった)」。およそ半数の UKの大人たちは、居留守を決め込んで、子どもたちの「trick or treat」を無視したと言う。(イギリス人は冷酷?)

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4.「Jack-O’-Lantern (ジャックの灯り)」

 さて、その「trick or treat」と一緒にUKに逆輸入されたものがある。「Halloween」のシンボルの「お化け顔したカボチャのランタン(pumpkin carving)」だ。

 その「lantern(ランタン)」には、Irelandの古い伝説(legend)が関係する。

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 その昔、Irelandの片田舎に、人を騙(だま)すことに長(た)け、およそ悪いことしかしない、飲んだくれで、Stingy Jackと呼ばれる男がいた。この男は、devils (悪魔) を騙し、Satan (魔王)を騙して、たとえ死んでも地獄に落ちないように画策した。しかし、そうかと言って天国に行けるはずもなく、結局、死んだ後は、暗闇(くらやみ)をうろつく他なかった。飲んだくれの Jackは、Satan (魔王)から「last wish (最後の望み)」は何かと問われると、足元を照らす「小さな明かり」と答えてしまう。

 

 そこで、Satanは石炭の燃えカス一つをJackにくれてやる。Jackは、その辺にあった「turnip (カブ)」をくり抜いて、その中に、石炭の燃えカスを入れて、足元を照らしながら、あの世とこの世をうろつくようになったという。

 

 この話が古くから伝わり、Irelandでは、暗闇に奇妙な灯りが見えると、あれは「Jack-O’-Lantern (ジャックの灯り)」だと言うようになった。

 

 Irelandでは、10月31日の Halloweenの夜、だれもがカブをくり抜いて、その中に石炭の燃えカスやロウソクを入れ、「Jack-O’-Lantern」をつくっては、玄関先に置いて、魔除(まよ)けとした。

 

 ところが、Irishが北米大陸に移住してみると、その土地でカブは育たず、カボチャがたくさん採れた。そこで、カブの代用品として、カボチャをくり抜いて「悪魔除け」のランタンを作ったのだ。

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5.「secularisation (世俗化)」

 こうして、ケルトの祭り「Samhain (サウィン祭)」と Irishの伝説・風習の魔除け「Jack-O’-Lantern」が、キリスト教徒に受け入れられた後に、大西洋を渡ってUSに根を下ろした。そのUSでは、おどろおどろしい風習の角(かど)がとれて丸くなり、さらに「commercialisation (コマーシャル化) 」と「secularisation (世俗化)」されて、現在の「Halloween」となった。

 現在の「Halloween」は、表向き (ostensibly) 子どものお祭だが、実際には大人たちが、これを巧みに利用して、デパート・スーパーの売上を伸ばしたり、飲み会やパーテイを開催するだけの一日となった。

Happy Halloween!

    (写真、動画は添付のRTE Newsから引用)

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