大西洋の海流の大循環に異変:気象は、もっと狂い出す!(RTE-News, Aug 5, 2021)
地球の大気の循環 (貿易風、偏西風、ジェット気流など) が乱れると、大洋の海水面の温度分布が異常になり、エルニーニョ/ラニーニャ現象が起こって、地球の一部に干ばつや洪水をもたらすことはよく知られている。
しかし、地球の気象は、この大気循環の他に、海流の大循環にも大きな影響を受けているのだ。
大西洋には、熱帯で熱せられた暖かい海水が、大西洋の表層を北上し、その後、深海にもぐって南下する「The Atlantic Meridional Overturning Circulation (大西洋子午面逆転循環流 AMOC)」と呼ばれる大循環流が存在する。
ところが、Exeter大学の Daniel Bebber教授らの研究ーチームは、大西洋の海面の温度 (temperture)パターンと塩分濃度 (salinity)パターンを分析した結果、近年、AMOCの流れが極端に弱まり、消えかかっていることを発見した。(研究結果の詳細は科学雑誌「Nature Climate Change」に発表。)
ただし、この大循環流がなぜ、急激に弱まったのかは不明。流れが蛇行しているためか、または不安定になっている可能性がある。それにしても、AMOCの勢いがいったん「critical threshold (臨界しきい値)」以下に弱まると、海流がもとの循環サイクルに戻るのは不可能とされる。
なお、「Britain's Met Office (英国気象庁)」によると、AMOCが大西洋から消えると、海流による熱伝搬システムが崩壊するため、
・increasing cooling of the Northern Hemisphere:北半球の気温が低下
・sea level rise in the Atrantic:大西洋の海水面が上昇
・an overall fall in precipitation over Europe and North America:欧州・北米大陸の降雨量が減少
・a shift in monsoons in south America and Africa:南米・アフリカ大陸が熱帯モンスーン気候に変わる
などの異変が現われるという。
しかし、研究者によっては、AMOCの流れの衰退が続くものの、2100年以前に、それが消え失せることはないとする意見もあるとか。
おわりに:地球の異常はまだまだ続く。その異常がもっと激しくなる。それでも、CO2排出大国の中国、USはじめ多くの国は、自国の利にこだわり、いがみ合い、地球環境を守る方向に舵をとれない。これがヒト属(Homo)の性(さが)か。
(写真は添付のRTE Newsから引用)