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最終氷期を生き残ったkelp(コンブ)の森:生命を育み16,000年! (BBC-Health, July 25, 2020)

 Kelp researchers in Scotland

 京料理に欠かせない昆布だし。昆布は英語で「kelp」、「 oarweed」あるいは「kombu」とも表記される。

 さて、約 16,000年前の最終氷期末期のことだ。それまでヨーロッパ大陸を覆い尽くしていた厚い氷床 (ice sheets)が撤退すると、昆布 (コンブ科の海藻)は、大西洋北部の海でコロニーをつくり始める。過酷な氷河期の環境にあって、岩にすがりついて生き延び、その種は13属に分化した。

 Heriot-Watt大学の Dr Andrew Wantらの研究グループは、Scotland 西海岸に流れ着くkelp (コンブ)を拾い集めて、その「genetic composition (遺伝子構成)」を解析し、ヨーロッパ沖には、遺伝子学的に異なった 3種の「kelp population (コンブ個体群)」が群生していることを突き止めた。

 その3種とは

・北米西海岸沖の個体群

・北部・中央ヨーロッパ大陸沖の個体群

・フランスのブルターニュ沖の個体群

 

 この 3種の中で、最も南の海洋にコロニーをつくる「Brittany population (ブルターニュ個体群)」は、かって、遺伝子構成が他の2種に近づいたときもあった特異な個体群。それが、地球温暖化の伴って海水温度が上昇したため、今や「風前の灯火(ともしび)」の状態。

Kelp researchers in Scotland

 「kelp (コンブ)」は暑さに弱い。氷河期が去って、地球が暖かくなると、冷たい海流を探し、生息に適した北へ北へと移動を続け、ときに大西洋の横断さえやってのけた海藻だった。

 それが、とうとう限界に来ている。このまま、海水の温度が上昇を続けると、多くの小魚・小動物を育む「コンブの森」も、やがて姿を消すことは必定。その結果がもたらす海洋生物、生物多様性、生態系に与える影響は、はかり知れないほど大きい。

 なお、Dr Wantらの研究結果の詳細は「The European Journal of Phycology」に発表された。

                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com