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海面下1,000m以上の冷たい海底:そこは珊瑚が咲く竜宮のよう! (RTE-News, January 22, 2021)

Ireland's corals 300km off the coast of Kerry. Photo: Aaron Lim

 美しい珊瑚 (corals)は、真珠、琥珀とともに七宝の一つとされる。このため、古来よりかんざしや数珠などに加工され、高値で取引された。

 その珊瑚の海と言えば、一般には、太陽が眩しく輝く熱帯、亜熱帯の海にあって、その光が届く範囲の浅い海域と思いがちだ。

 

 しかし、地球上に生息する珊瑚約 5,100種のうち、その半数以上の珊瑚種は冷たく暗い深海底にひっそりと生きる生物。「cold-water corals (冷水サンゴ)」または「deep-water corals (深海サンゴ)」と呼ばれる種(しゅ)だ。

 

 よもや、あるまいと思われていた場所で珊瑚を見つけたのは、漁師だった。1755年のことと歴史書「The National History of Norway」で紹介され、その本の中で

 

“  ’white’ and ‘like a flower in hull bloom’ ”

[ (珊瑚は)白く、まるで満開に咲いた花のようだった ]

 

と、記載される。

 その後、多くの珊瑚ハンター、研究者が深海の珊瑚探しに躍起になる。

 さて、Ireland南西部の町「Dingle (ディングル)」から真西に約300kmの地点、深度1,000- 3,500mの海底に、「The Porcupine Bank Canyon (ヤマアラシの土手の峡谷)」と呼ばれる巨大な深海珊瑚礁がある。その海域では、海底からさらに深さ800m、長さ70kmにわたって峡谷が走り、そそりたつ岩壁に珊瑚がへばりついて生長している。

 その峡谷の底 (深度3,500m)は、珊瑚の破片 (coral rubbles)で埋め尽くされている。この場所で、珊瑚が数千年にわたって生きてきた証拠だ。

 なお、この峡谷の他にも、Irelandの深度約 100mの大西洋海域では、深海珊瑚の小山 (coral mounds)が多数発見されている。

 

 さらに驚いたことに、この海域の深度 2,125mの海中からマイクロプラスチックが見つかっている。

 また、深度700mにあっても、海水は流れており、速度 2cm/sから100cm/sを超える海流が観測されている。

 Irelandの海洋研究者らは、今後も深海の調査を進め、マイクロプラスチック、気候変動が、深海珊瑚の生態にどのような影響を与えているのかについて明らかにしたい考えだ。

 

おわりに:某国の漁船(?)は、深海にあることを逆手にとって、他国の領海に侵入し、高値で売れる深海珊瑚(宝石サンゴ)の盗掘を始めた。浅ましいの一言に尽きる所業だ。

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