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「考えすぎは体に毒」、「考えすぎると頭がハゲる」:これは本当か? (RTE-News, July 26, 2021)

Many of us are plagued by worry or easily fixate on certain thoughts. Lauren Taylor speaks to psychologists about when to do something about it.

 パスカルは『人間は考える葦(アシ)である』と言った。しかし、それも程度問題だ。子どもの頃は、『考えすぎるとハゲになる』と脅かされ、『考えすぎは体に毒』との戒(いまし)めも聞いた。

 

 やがて、おとなになると、身の回りに色々なことが起きた。そのつど、『ああすれば良かった』との後悔があった。それに、人生、常に楽しいことばかりとは行かない。また、将来の不安・心配事がない人など、ほとんど皆無。

 

 そんな こんなで、まごついていると、ときに、一つの事にとらわれて、頭から そのことが離れない状態になる。それが「overthinking (考えすぎ)」、「dwelling on (思慮没頭)」。平たく言えば、「考えること」に、呑み込まれてしまうことだ。

 

[Ⅰ]  Why we  overthink:なぜ人は考えすぎに陥ってしまうのか

 心理学者の Dr Elena Touroniによると、過去の行動に対する後悔や、これから起こるかも知れない不都合なことに対する不安などは、誰にでもあること。

 ただし、将来の見通しが全く立たない状況に置かれたり、日中の忙しさから開放されてベッドに入って考える余裕が生まれたときに、どうしようもない「overthinking phase (考えすぎフェイズ)」に陥りやすいという。

[Ⅱ] When overanalysis affects wellbeing:考えすぎが体に毒となるとき

 心理学が専門の Ms Niels Eekは、「overthinking」には「fixation (こだわり)」が関与していると指摘する。「こだわり」は目的を達成するためには必要なことではある。

 しかし、「small and insignificant things (些細な、つまらないこと)」にこだわっていると、エネルギーを消耗するばかりか、ストレスや不安をつのらせ、「ああでもないi、こうでもない」と、ムダな考えを繰り返すことになる。

 「overthinking (考えすぎ)」は、問題を解決するどころか、ストレスや不安を生み出し、ついには心理学上「analysis paralysis (分析麻痺)」と呼ばれる心理状態に至ってしまう。つまり、考えすぎて、何事も行動に移せなくなってしまうのだ。

 

 こんな状態が続くとが健康にもメンタルヘルスにも良いはずがない。夜半に目が覚め、頭の中が「どうしようか」でいっぱいになって眠れなくなり、日中、必要なときに集中力を発揮できなくなる。それが、さらに、イライラ、ストレス、不安を助長し、「負のスパイラル」に落ち込んで行く。

[Ⅲ] How to get out of your head:そこから抜け出るために

1.ひとりで悩まない

 ひとりでトラブルや心配事を抱え込んでクヨクヨしたり、「ああでもない、こうでもない」と考え抜いても、どうしようもないことが多いもの。それよりも、その胸の内を親しい友だちや家族に打ち明けてみると、問題の焦点がはっきりしたり、解決策が見つかるものだ。第一、心が軽くなる。

 

2.気晴らしと運動

 心臓が心配事で破裂しそうだったら、何をやってもうまく行かない。冷静な分析はもちろんのこと、知能・判断能力も、健全な状態の半分以下に落ちている。

 そんなときは気分転換が必要だ。絵を描いたり、好きな本を読んだり、ランニングやテニスで汗を流し、「unnecessary self-destructive thouoght (なんの役にも立たない自己破滅的な考え)」を吹っ切ることだ。(なお、気晴らしができるようなら、症状は軽い。)

 

3.マインドフルネス(心の充実)

 どんなに、ドーナッツを食べて胃袋が満たされても、海外旅行に遊び歩く時間がたっぷりあっても、心に穴があいた状態では、幸せも安らぎもありはしない。その上、コントロール不能の「overthinking (考えすぎ)」に取り憑かれたら、最悪だ。

 

 そんなときには腹式呼吸を実施し、「心の平安・充実 (mindfulness)」を取り戻すことだ。先々のことをあれこれと考えたり、周りのことに気づかっていると、心が「unnecessary clutter (くだらないガラクタ)」でいっぱいになり、創造力も問題解決能力も失ってしまう。そんなガラクタはどうでも良いのだ。さあ、大きく深呼吸をしてみよう。

4.心の中を書き留める

 モヤモヤした心の気分は、いくら考えに考えを重ねても、そのモヤモヤは晴れないもの。

 それよりも、今、「どうしようか」と悩んでいることや、「どうすれば良いか」と思いあぐねていることなどを、思いつくままに紙の上に書いてみよう。

 すると、「あること」と「そのこと」のつながり、「心の糸のほぐれた状態」がはっきり見えてくる。

 日記を書くのもよい。(筆者は経験上、A3のコピー用紙の利用を勧めている。)

5.専門医に相談

 それでも「overthinking」が続く。そこから抜け出せないで、日常生活に支障をきたすようなら、専門医のカウンセリングを受けること。

 

おわりに:「thinking (思考)」と「overthinking (考えすぎ)」は、まさに紙一重。その違いを決定づけているのは、健康な身体、「そんなものに負けるもんか」の強い意志力と、冷静な分析力だ。

 それに加えて、問題に遭遇したときには、樫(カシ)の木の「fixation (頑強さ)」よりも、葦(アシ)の「flexibility (柔軟さ、しなやかさ)」が欠かせない。

                  (写真は添付のRTE Newsから引用)

www.rte.ie