リエントリー症候群:コロナ感染が不安・ウツを煽(あお)る! (RTE-News, May 27, 2021)
Ⅰ.Maryが Dr Eddie宛に手紙を送った。
こんなことは、今まで経験したことがなかった。このところ、不安と鬱(うつ)にとらわれて、そこから抜け出せない状態がつづく。Covid-19に感染するかも知れないと、気がかりで仕方がないのだ。私は、外出するとき、いつもマスクをしているのに、周りを見ると、マスクをしていない人もたくさんいる。
以前は、あんなにアクティブで、なにかと忙しくして、明るい性格だったのに、今は家の中に閉じこもり、息子に会いたいとも思わない。こんな状態では、たとえワクチンを打っても、今後の人生がずっと暗いものになるのでは、と心が休まらない。
Ⅱ.Dr Eddie Murphyの返信
Covid-19が社会にもたらしたものは
・feelings of loss:喪失感
・fear and sadness:恐怖と悲しみ
人によって、心のなかに ぽっかり穴 (dips)があいたような気分にとらわれ、次のような症状に陥る。
・loss of sleep:睡眠不足
・overeating:過食
・too much alcohol:お酒の飲み過ぎ
・tension and worry:緊張と不安
さて、Covid-19感染防止に向けた行動制限が緩和される方向に向かい、人々は3蜜を避けながらも「re-entry society (社会との関わりの再開)」が迫られる。
そこに、「re-entry anxiety (リエントリー症候群)」が襲いかかる。この精神疾患には2つのタイプがあって、
・Covid-19に感染するかもしれないという、心の中に隠れた恐怖 (lurking fear)が働いているもの。
・他人との関わり (socialising)を絶った人が、元の交友関係に戻ろうとしても、戻れないでウズウズしている状態。
いずれの場合も、
・uncertaintity:不確かさ
・a fear of unknown harm:未知のウイルスの恐怖
が原因だ。
「re-entry anxiety」に取り憑かれた人にとって、「unclear and fast changing public health advice (政府の、不明確で、常にクルクルと変わる公衆衛生上のアドバイス)」は役に立たない。以下の内容を参考にして欲しい。
Ⅲ.Tips to combat re-entry anxiety:そんな状況から抜け出るためのコツ
1.Take baby steps:ちょっとだけ、前に進む
家の中に閉じこもっていては、不安がつのるだけ。大切なことは外に出かけることだ。混雑する時間帯を避けて、公共交通機関を利用したり、換気の行き届いた部屋で息子/娘に会ってみたり、買い物に出かけたりと、少しずつ、足を運んでみよう。
2.Breathe:腹式呼吸に挑戦
不安スパイラル(anxiety spiral)に引き込まれそうになったら、ゆっくりと腹式呼吸をしてみる。
3.Start now:すぐに始めよう
お付き合い (socialising)は やめてもいいが、それが永久に (indefinitely)とはいかない。人は他人との関わりを断って、ひとりでは生きてゆけないのだ。今すぐに、自分に問いかけてみよう、「To be, or not to be.(このままでいいのか、それとも よくないのか)」と。答えは自分で見つけるしかない。
4.Support:ひとりで がんばらない
「心の不安は、何が原因で、どうすれば、その不安を少しでも緩和することができるか」。ひとりで悶々としていても、その答えは見つからない。親しい友だちや家族と一緒に考えてみよう。少なくとも、今の自分が抱える心の悩みを口に出してみることだ。専門医に駆け込むのは最後の手段。
おわりに:ドイツでは、Covid-19に感染し、回復した人の約 6%が後遺症に苦しんでいるという。決して少なくない数値だ。近所にそんな人が現われたら、不安に襲われるのも無理がない。コロナは野生のクマと同じ。近づかない限り、危害を受ける心配はない。今は「獰猛なウイルス」を甘く見ないことが肝心だ。
(写真は添付のRTE Newsから引用)