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シベリアの永久凍土で24,000年間眠って:やっと目覚めたワ虫! (BBC-Science, June 8, 2021)

A bdelloid rotifer

 『名は体を表わす』』と言うが、ちっとも「体(たい)」を表わさないものだってある。細長い棒状でも「輪形 (りんけい)」と言う。体長 0.5mmほどの、ごく小さな「ワムシ(rotifers)」のことを、輪形動物とも呼ぶそうだ。その「rotifer」の語源はラテン語「Rotifera」。「wheel bearer (輪っか持ち)」の意味だ。口の周りの「corona (コロナ型)」が車輪のように見えたのが、その名前の由来とされる。

 

 輪っかどころか、蛭(ヒル)のような形のものもいる。それが「Bdelloid rotifers (ブデロイド・ロティファー)」[ヒルガタ ワムシ]。

 この仲間は、淡水域に生息し、池、小川、苔・地衣類、木の洞・表皮に湿った土壌の中と、とにかく水のあるところなら、世界中のどこにでもいる生物だ。

 

 しかし、24,000年前の「Bdelloid rotifers」が再び、目を覚まして、繁殖活動を始めたとなると、話は別だ。

 そもそも、これまで、この種のワムシが凍結した氷の中で生存できるのは、せいぜい10年程度とされてきたからだ。

The research team used a drilling rig to collect core samples from Alazeya River in Russia's Far North (File photo)

 ところが、シベリアの永久凍土層の中から発見された「Bdelloid rotifers」は、これまでの定説を覆すものだった。「radiocarbon dating (放射性炭素年代測定)」によって、そのワムシが生きた年代は、今から24,000年前と判定されたのだ。(詳細な研究結果は「Current Biology」に発表。) 

 それは尋常な生物ではない。

 

 この「multicellular organisms (多細胞生物)」が地球上に出現したのは、今から3,500万年前とされる。とにかく、しぶとい。

 

・radioacive-resistance:耐放射線性 (を有し)

・low oxygen:低酸素

・starvation:飢餓

・high acidity:強酸性

・drying or dehydration:乾燥・脱水

 

などの苛酷な環境に耐えることができるのだ。

 

 なお、生存に不利な極度の環境に見舞われると、ワムシは「crytobiosis (クリトビオシス)」に入る。全ての生命活動を停止させ、体は無代謝状態になる。まさに「死 (death)と生 (life)」の境に身を置いて、完全な「hidden life (隠遁生活)」を送るという。

 

 そして、辺りの様子が変わるのをじっと、じっと、いつまでも待つ。やがて、適切な環境の変化に刺激されて目を覚ますと、「asexual reproduction (無生生殖繁殖)」を繰り返し、仲間をどんどん増やすことができる。「Bdelloid rotifers」にとって、オスなんか、まったく不要。

 

謝辞:この一文をまとめるに当たって、以下の優れた「The Guardina」、「RTE」の記事も参照した。記して謝意を表したい。

1)  The Guardian: June 7, 2021

・ 24,000-year-old organisms found frozen in Siberia can still reproduce

2) RTE News: June 9, 2021

・Arctic micr-animal survives 24,000 years in permafrost

 

おわりに:宇宙では放射線が飛び交い、酸素はなく、温度は絶対零度に近い。そんな宇宙空間でも、クマムシは生存できると聞く。将来、どんな地球変動が起きても、たとえ小惑星が地球に衝突しても、はたまた核戦争が起ころうが、クマムシやワムシなどの生物は、ほぼ「indefinitely (永久に)」この地球に生き延びる可能性がある。

 そのとき、生物は進化し、再び、ヒト属 (Homo)を創り出すのだろうか。

   (写真は添付のBBC News、RTE Newsから引用)

www.bbc.com

www.rte.ie