自然開発は自然の破壊だった:固有種 消え、生物多様性が危機に!
地球温暖化が進んで、この100年の間に Irelandの年平均気温は、約 1℃上昇した。その結果、これまで、いつもの場所でいつものように生きてきた植物は、もっと南の暖かい地域で生きていた植物によって北へ北へと追いやられ、植生分布は大きく変わった。
また、外来種 (non-native species)が Irelandに持ち込まれると、「native plant species (自生植物)」は生息地を奪われて、その数を減らした。
しかし、Irelandの野山や草原、湿地などで、ごく普通に鑑賞できていた「Ireland native flora (アイルランドの自生植物相)」が急減した最大の原因は、1950年代に始まった
・farming:農地開発
・forestry:(針葉樹の)植林
が招いた
・habitat loss:(自生植物の) 生息地の破壊
・mineral enrichment:(湖沼の) 養分富化
・altered grazing pressure:家畜放牧様態の変化
のせいだった。これが、植生分布マップ「The Plant Atlas」の作成のため、20年の歳月をかけて「The Botanical Society of Britain and Ireland (英国・アイルランド植物学会 BSBI)」が調査して得た結論だ。
今回の調査によって、Irelandで確認された植物種は1,939種。その半数が Irelandの固有種だった。ただし、その 56%は個体数を減少させていて、なかには絶滅の危機に瀕しいるものもあった。
一方、1500年代に Irelandに持ち込まれた外来種の 80%が、生息域を拡大させていた。
1.はびこる外来植物 (non-native plants)
外来種と言っても、そのほとんどは自然環境に さほどダメージを与えない。しかし、なかには自生種の生息域に侵入し、その生存を脅かすものもいる。その代表的な外来植物が
・Himalayan Balsam:オニツリフネソウ
・Rhododendron:ツツジ
・American Willowherb:カラフトアカバナ
・Nuttall's Pondweed:ヒルモ
2.農地開発、植林で消えた植物
Irelandでは、針葉樹 (conifers)の植林が進んで「boradleaved trees (広葉樹)」の林がどんどん失われ、それに伴って自生植物も消えた。もっとも打撃を受けた植物は「native glassland plants (草原に自生する植物)だった。その一つが
・Field Gentian;フィールド・ゲンティアン
また、湿地 (fen, marsh, swamp)も農地・放牧地に転用されるようになり、そこにに生息する
・MarshLousewort:マーシュ・ラウスワート
・Corn Mint:コーン・ミント
・heathers:ヘザー
・sundew:モーセンゴケ
などは、この30年間で極端に数を減らした。
なお、湿原 (peatbogs)は、炭素 C、メタン CH4の包蔵庫であり、気候変動の抑制システムとして重要な働きを担っている場所だ。
それに加えて、湿地に生息する自生植物が絶滅してしまうことは、「Irish flora (アイルランドの植物相)」の大半を失うことであり、「biodiversity conservation (生物多様性を保持)」する上で重大な問題だと、BSBIは指摘する。
3.BSBIのメッセージ
”Human activity is the cause of the decline and that human activity must be recruited to restore it.”
[ 植物がその数を減らした原因は、自然に手を加えた人間にある。ならば、植物を復活させるために、人間が努力するのは当然のこと。]
おわりに:「今さえよければ」、「自分さえよければ」、「得さえすれば」の思想は、自然を破壊し、平和を破壊し、友情を破壊する。地球上にはヒト属(Homo)以外に、そんな生きものは存在しない。
(写真は添付のRTE Newsから引用)