ヒロシのWorld NEWS

世界のニュースを日本語でお届け!

人口の10倍 (18,000,000本)の木を植える国:Scotlandの意気込み (BBC-Science, June 6, 2021)

Trees

 かって、広葉樹の森には光が溢れ、たくさんの小鳥や獣が互いに支え合いながら暮らしていた。それは、自然豊かな場所だった。人間は、その自然の中にあって、キノコや山菜、ヤマブドウ、ベリー、木の実を集め、シカ、イノシシ、クマなどを狩って生き延びた。狩猟採集時代、食糧は平等に分配され、土地を所有するという考えがなかった。もちろん、森は、だれのものでもなかった。

 

 それが、いつの頃か、森の所有権を主張するものが現われ、権力者同士で争い、奪い合って、森はズタズタに切り裂かれ、農地や工場・住宅地に、あるいは鉱山開発用地として売り買いされた。

 こうして、森はパッチワークの布切れのように分断されて、そこに住む野生動物は、極度に移動が制限されるようになった。

 

 時が流れるにつれて、森はどんどん小さくなり、その多くは消滅した。

 ところが、ここに来て、森を復活させようとする動きが出てきた。今一度、切れ切れになった森を一つにつないで、豊かな森を復活させようとする市民運動だ。Susan Aitken tree planting with children

 それは、Scotlandの Glasgow周辺の、広さ29,000ha (290km2)の敷地に在来種の木を植林し、「broad-leaved woodland (広葉樹の森林地帯)をつくり出す計画だ。

 このプロジェクトで新たに植えつける苗木の本数は1,800万本。人口の10倍に相当する広葉樹の苗木を植えつけて、国土面積に対する森林面積の比率を17%から20%に引き上げたいと願う。

 

 Glasgow (グラスゴー)は、今年11月に「COP26」の開催が予定されている都市。Scotlandは、この植林プロジェクトを確実に進めて、地球温暖化対策「Net Zero (CO2排出量実質ゼロ)」の先進的な取り組みを全世界にアピールし、その意地を示したいところだ。

 

参考:なお、植林の大切さを語った絵本がある。ぜひ、一読願いたい。

ジャン・ジオノ原作 フレデリック・バック絵 寺岡 襄訳:木を植えた男、あすなろ書房、1989

 

おわりに:日本の山々は、金儲けのため、杉、ヒバ、ヒノキなどを植える場所だった。しかし、やがて、山仕事に携わる村落の住人が高齢化すると、山は荒れるに荒れ果て、日の射さない、薮(やぶ)だらけの死の森に変わった。その結果、どうなったか。花粉症患者だけが増え、医者に薬品メーカー・薬局だけが儲かる世の中になった。

                   (写真は添付のBBC Newsから引用)

www.bbc.com